第四話 限界突破、反撃開始
スタッ、スタッ、スタッ。
四人は薄暗い廊下を歩く。
心なしか、徐々に空気が重くなる。
「先輩の感覚だとこの先はどう感じますか?」
「そうだな、なんかヤバそうなのが二体ともう一体なにかいそうなんだが、それがうまく掴めないな。」
スノウとヒメノが先を歩く。
「さっきのあたし達を見てた黒い人も気になるよね。」
「そうですね、でもあの場で害を加えてこないあたり敵ではなさそうですよね。」
リサとユキナは背後を気にしながら歩く。
ドーンッ。
大きな扉の前に四人は着く。
「まあ、まずは話をできるやつと会わないとな。あの化け物に片っ端から人間は殺されてるし。」
四人は戦闘態勢を取りつつ、スノウがドアを開ける。
ギギィ、ギギー。
光が指すその先には、
「待っておったぞ、ガキ共。」
金色に光る大きなイスに一人の男が座っている。
「やっと話せる奴か。隣に化け物を添えてだが。」
「あなたは誰なんですか?どうしてこんなことをーー。」
ヒメノが質問を投げかけると、
「殺せ。」
ゴスッゴスッゴスッ!
イスに座る男の合図で両サイドからオークが攻撃してくる。
「ちょっと、話くらい聞きなさいっての!」
「リサさん、とりあえずこの化け物をなんとかしないと!」
四人は武器を構え、オークと戦う。
シュンッ!
「
「
スノウの逆手持ちした刀は風を斬るかの如く早い一撃、ユキナの槍は岩を砕くような重たい突きを一体のオークに直撃。
「ヒギャ!」
オークは青いクリスタルとなり床に落ちる。
ズダッ!シュンッ!
「
「
ヒメノのブーツからは三日月を空中に描くかのような綺麗なサマーソルトが、リサの長剣からは全てを真っ二つにしかねない上段斬りがもう一体のオークに直撃。
「イギッ!」
もう一体も青いクリスタルになる。
「さあ、お前のペットはもういねえぞ。」
「あたし達を甘く見ないでよね!」
スノウとリサがイスの男に武器を向ける。
「これくらいはやってもらわんとな、わしが飼い慣らしてる意味がない。」
男がイスから立ち上がる。
「飼い慣らしたって、あなたがこの悲惨なことを!?」
ヒメノは眉間にシワを寄せ睨む。
「あなたは、何人の人間が死んだか分かってるんです
か!」
ユキナは声を荒げる。
「そんなことは知らんよ、ここは私の世界なのだから。」
「そうか、てめぇが王様か。最悪の王だな。」
「私の名は、オーディン。ガキども、わしに殺されることを光栄に思え。」
フワァァ。
オーディンの周りに斧が宙を浮き、彼を守るように回っている。
「うわ、なにあれ!おじさんの周りを武器が浮かんでる!」
「みなさん警戒してください!」
ユキナの声を合図に四人は武器を構える。
「死ね。」
シュンッ!シュンッ!シュンッ!
数多の武器が飛んでくる。
「こんなところで死ねるか!いくぞ!」
カキーン!カキーン!
四人は飛んでくる武器を叩き落とす。
「ふはは、無駄なことはやめて潔く死ね。」
「いやだね、あたし達はまだ死にたくないから!」
ズザッ!
リサがオーディンに近づく。
「リサさん無理しないで!」
「ヒメノ!リサのカバーを!」
ヒメノがリサの背後を守る。
「先輩!私たちも!」
「ああ、こんなもので止められると思うなよ!」
スノウとユキナもオーディンに近づく。
「邪魔者が!」
オーディンは複数の武器をまとめて、弾丸のように投射する。
この時、四人の頭の中に小さい電撃のようなものが走った。
ピキーンッ!
(この感覚、いける!)
スノウが何かを感じとる。
「っ!リサ!」
「任せて!」
ズサッ!
リサは態勢を整え、
「
バキーンッ!
長剣で、武器の塊を吹き飛ばす。
スサッ!
開けた道を他三人が走る。
「生意気な!」
オーディンは三人の両サイドから回転した斧を投射する。
「ユキナ!」
「了解です!」
カチャッ!
ユキナは槍を構える。
「
ガキンッ!ガキンッ!
槍を使い両サイドの斧を弾く。
スノウとヒメノはさらに詰める。
「まだまだ!」
次は剣を無数に投射する。
「ヒメノ!」
「はい!」
フワッ、サァ!
「
キンッ、キンッ、キンッ!
ヒメノのブーツから発生した風で剣を弾き飛ばす。
その流れにスノウは乗り、
「バカな!」
「終わりだぜ、おっさん!」
両手に刀を構え、
「
バキンッ!
オーディンの身の回りに見えない壁が現れ、スノウの刀を受け止める。
「なんだとーー。」
「バカめが!」
「ぐはっ。」
魔法の壁に弾かれ、スノウは吹き飛ぶ。
「兄さん!」
「よそ見は危険だよ。」
大きなハンマーが飛んでくる。
「やばっーー」
ドーン!
ハンマーが地面を叩き割る。
「きゃあ!」
ヒメノは壁に叩きつけられる。
「スノウ!ヒメチン!このっ!」
ザザッ!
リサはオーディンに突っ込む。
「ふん、遅いわ。」
大きな扇子を一振りする。
「風っ、うわぁ!」
ゴスッ!
リサは柱にぶつかる。
「みなさん!」
「お前で最後だ。」
床に落ちてたはずの斧の柄がユキナに突っ込む。
「うそっ、えふっ。」
みぞおちに直撃し倒れる。
「雑魚いな、最強の戦士達よ。」
「くそがっ!」
スノウが動き出すと。
「寝てろ、
ズンッ!
四人の体に上から圧力がかかる。重力が増したかのように。
「う、動けない。」
力の強いリサでも、指一つ動かない。
「くそっ、が。」
「貴様らは用済みだ、早く楽になれ、こんな世界もう守らんでよい。」
「うっ……。」
四人は全く動けない。
「まあ、貴様らにはもう記憶なんてないだろうがな。」
(くそっ、こんなところで死ねるか……。)
スノウは意識が虚になりながらもがくと、暗闇に一つの声が。
(憎いか、少年。)
スノウの頭に直接声が流れる。
(ああ、憎いよ、俺はあいつらと離れたくねえ。)
(ならばどうする、何を求める。)
(そんなの一つに決まってる、力、最強の力。)
ジュワァァ。
スノウの体から湯気が出てくる。
(ならば、お前を貸せ。願いを叶えてやる。だが、後悔するなよ。)
(後悔?笑わせんな!仲間を失うくらいならどんな代償でも払ってやる!)
カタッ、カタッ。
「ま、んだ。を。」
スノウがじわじわと起きあがろうとする。
「まだ動けるか、貴様。」
オーディンは武器を投射する。
シュンッ!
「っは!兄さん!逃げて!」
「守るんだ、俺が。みんなを。」
ピキーンッ!
スノウの目が赤く光る。
「守るんだー!!」
ドゴーンッ!
パリンッ!
スノウの覇気で四人を押さえつけてた魔法が解除される。
「な、なんだ、その姿は!」
「に、にい、さん?」
「グガァ。ハー、ハー。」
スノウの髪は白くなり肩甲骨ほどまで伸び、目は赤く青い覇気を纏う。真っ白な尻尾も生える。
その姿は人間というより、白い狼。
「
英雄の反撃開始。
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