第二十章 英雄に希望が指す
第百二十三話 秘密の場所
チュンッ、チュンッ。チュンッ、チュンッ。
朝日が部屋に差し込む。
小鳥が囀り、ホープは久しぶりに平和な朝を迎えた。
外からの明るい日差しはスノウの顔を照らす。
「んっ、朝か?はぁー、久しぶりによく寝れた気がするな。」
ガッ。
起きあがろうとするスノウの右手が動かない。
理由は簡単、セラが腕枕にしてるからだ。
「はあ、なんで同じベッドで寝てんだよ。ヒメノが入ってきたら怒られんのは俺だぞ。」
「すーっ。すーっ。」
セラはすやすやとゆっくり寝ている。
スノウと同じくとても疲れていたようだ。
「さあて、どうすっかな。」
「何をどうするんですか?」
「ぎくっ!」
スノウは背中の冷たい視線に気付き、顔に焦りを浮かべる。
「ヒ、ヒメノ!?いつからそこに?」
「五分くらい前からですよ、全く起きてこないからわざわざ様子を見にきたんです。」
「え、全く起きないって今何時だ?」
「はあ、もう10時ですよ。」
サーッ。
ヒメノは冷たい視線を送りながら答える。
所々語尾に怒りを乗せて。
「あ、ああ、そうか。悪い悪い、じゃあ早く起きないとな。」
「そうですね、早く起きてくれたら私も嬉しいですね。……それと、ちゃっかりセラさんも起きてますよね。」
「ぎくっ。」
セラの体がビクッと動く。
「は?お前起きてんのか?」
「あ、あはは、お兄より先に起きてたんだけど全く起きないからついつい隣で二度寝しちゃった。」
「もう!二人とも!もう少し警戒してもいいと思いますけど!それと、町長もお戻りですから早く起きてくださいね!」
ダッダッダッ!
ガチャンッ!
ドアが少し強く閉められる。
「ふーっ、心臓止まるかと思ったぜ。てか、セラなんで俺のベッドにいるんだ?」
「えー、まあ、気分かな?」
「お前の気分次第で俺の寿命を縮めないでくれよ。」
「はーい、気をつけます!」
ガサガサッ。
二人は着替え、
外は晴れ渡り、彼らを迎えいれているようだ。
「う、うーん!あのベッド好きかも!すごい疲れが取れた!」
「確かにな、久しぶりによく寝れたぜ。んじゃ、町長の家に向かうか。」
「うん!」
スタッ、スタッ、スタッ。
二人は町長の家に向かう。
コンッコンッコンッ。
「失礼します!」
セラがノックをして、ドアを開ける。
「おお、君たちがスノウくんとセラさんだね。」
髭を生やした男性が声をかける。
「ああ、俺がスノウ・アクセプト、こっちがセラリウムだ。」
「初めましてだな、このエーリュズニルの町長、デイミアン・トーンだ。」
デイミアン・トーン……37歳。 エーリュズニルの村長にして、顔に傷が多くある歴戦の生き残った兵士のような風貌。
「デイミアンさん、私たちにして頂けた話を二人にもお願いできますか?」
「ああ、もちろんだ。二人にも聞いてもらいたいんだ、君たちの師匠、クレイトスさんから受け取った地図について。」
ズザッ。
スノウとセラも椅子に座る。
「私がクレイトスさんから受け取った地図は、近くの祠に閉まってあるんだ。あの人から使う必要がない代物って言われてね。」
「なるほどな、クレイトス先生が残したってことは何か意味があるんだろうな。」
「意味はあるとは思うが、見るのも良くないと思い祠の奥の箱にしまったんだ。君たちなら、その意味をしっかりと受け止められる気がする、ぜひ行ってみてほしい。」
「ああ、分かった。場所を教えてもらっていいか?」
シャシャッ。
一枚の大きい紙がテーブルに広げられる。
「ここから15分ほど歩いた先にある湖の近くに祠があるんだ。そこの奥にしまってある。」
「近いんだな、分かったぜ。」
スタッ、スタッ、スタッ。
ホープは正門まで歩く。
「君たちはこの後ノーアトューンへ向かうんだったね?」
「はい、デイミアンさんもノーアトューンに行ってたんですよね?」
「ああ、ちょうどうちで取れる鉱石を届けに行ってたんだ。君らも武器を作る予定とさっき言ってたし、ちょうどいいかもしれないな。」
「バッチリだね!デイミチンありがとう!」
スタッ、スタッ、スタッ。
ホープは祠に向け歩き始める。
彼らはクレイトスの残した地図から何を知ることができるのか?
♦︎♦︎♦︎
「バルドルよ、準備はどうだ?」
「ああ、父上。順調に完成しつつあるよ。これまでの個体はホープ達にやられてしまったが、先程のNo.6は少し善戦していたみたいだ。」
「透明な力を持ったモンスター、あいつにはかなりの記憶を入れ込んだ。活躍してもらわねば困る。」
オーディンとバルドルが不穏な会話を広げている。
「そうだ、バルドル。最新の個体はどうなっている?そろそろ実戦投入できるか?」
「ああ、それならもう送っておいたよ。試作型ではあるが、かなりの自信作だ。もしかしたら、一人くらいはもっていけるかもな。」
「ほお、そんなにか?ならば、期待させてもらうよ。少しは奴らにも苦戦してもらわねばな。」
オーディンは不適な笑みを浮かべる。
スノウ達に新たな危険が迫っていた。
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