第百二十九話 久しぶりの再会

スタッ、スタッ、スタッ。

ノーアトューンの正門近くにホープは辿り着いた。



「ふーっ、久しぶりに来たな。エインズは元気してっかな?」

「早く会いに行きましょうよ!お土産もあるわけですし!」


ゴスッ。

リサがオリハルコンと黒曜石のカバンを置く。


「ふーっ、意外と重かった。さあて、エインズチンにいいもの作ってもらえるかな?」

「とても協力的な方ですし、大丈夫ですよ。後、ここまで運んでくださりありがとうございました!」

「いいの!いいの!ユキチン達には負担が大きすぎるだろうからね。」

「リサなら余裕そうだしな。」


スサーッ。

風が一瞬冷たくなった気がした。


「さあて、鞄持ちすぎてて肩凝っちゃったんだよねー。少し肩動かしたいから、誰か相手してくれないかなー。」

「あ、えと、ほ、ほら!早くエインズのところ行くぞ!」


ダダダダダッ!

スノウは走ってエインズの鍛冶場まで向かう。



「あっ、こら!逃げるな!」


ダダダダダッ!

リサも後を追う。


「元気だね、二人とも。」

「セドリックさんも兄さん達に混ざってきますか?」

「いや、遠慮しておくよ。無事じゃ済まなそうだしね。」


スタッ、スタッ、スタッ。

四人も後を追った。



「ここがエインズさんっていう鍛冶屋さんがいる場所?」


セラの目に、多くの剣や槍が壁にかけられ、多くの鉱石が並ぶ工場コウバが映る。


「そうですよ!久しぶりに来ましたが、かなり武器も増えたみたいですね。」

「そうですね、ヒメノちゃんのブーツみたいな特殊なものもありますね。」

「おーい!エインズはいるか?」


スノウが呼びかける。


「うん、誰じゃ?忙しくなってきたこの時期に……おうっ、ホープじゃったか。」


工場コウバの奥からエインズが歩いてくる。


「お久しぶりです、エインズさん。お元気そうで何よりです。」

「ああ、鷹の娘よ。わしはこの通りピンピンしとるよ。さて、今日は何を?」

「それはね、これをみて欲しいんだ!」


ドスンッ。

リサは重い鞄を下ろす。


「んっ!?この匂い、この音、オリハルコンと黒曜石ではないか!?」

「ああ、エーリュズニルのデイミアンから受け取ってきたんだ。王国との合戦に備えて、新しい装備が必要でな。」

「なるほどな。……見た感じ、お主達もかなり力を取り戻してるようじゃな。であれば、ぬしらの専用武器、神討ゴッドリベンジャーを扱えるだろう。」

神討ゴッドリベンジャー?なんだそれ?」


スノウが問いかける。


「わしに、ある人が残してくれたメモがあってな。その時が来るまで作らないでと言われたが、これを作る時が来たといことじゃろうな。」

「ある人?それはどなたなんですか?」

「ん、そういえばお主らの師匠じゃったな。たしか名前は、だったかな?」

「クレイトス!?セラ達の先生が!?」


ホープの全員が驚く。

またしてもクレイトスの名前が出たのだ。



「マジかよ、俺たちの先生はどこまで分かってたんだ?しかも、神討ゴッドリベンジャーってことは、ヘルクリスマス用の武器ではなく、オーディン達用ってことだよな。」

「うむ、そうじゃろうな。わしも最初は何も分からなかったが、オーディンの行動がおかしいと感じるほどに、この武器の存在理由がわかったよ。」

「まあ、有難いことには変わりないな。早速お願いしてもいいか?素材はこの鉱石だけで足りるか?」

「ああ、ちょうどこの鉱石と今手持ちにあるもので作れる。そしたら、ぬしらの手や足のサイズを測らせたくれ。」


スタッ、シャッ、スタッ。


エインズは素早くホープ六人の手のサイズ、足のサイズを測る。


そして、セドリックの番で少し止まる。


「ん?ぬしは、トップではないのだな?」

「あ、はい。僕は、ヴァルキュリア隊の隊長をしております、セドリックといいます。」

「ふむっ、トップではなくてもそれに等しい力は持っていそうだな。なら、主の武器はわしの感覚で作らせてもらおうかの。」

「ありがとうございます。」


ガサッ。

全員の測定が終わり、エインズはオリハルコンなどをしまってる鞄を持つ。


「だいたい一週間あれば作り終えるじゃろう。それまでこの村におるか?」

「うーん、いや、一箇所行きたいところがあるんだ。……そうだ、エインズはノーアトューンの先に小さな村があるみたいなんだが、聞いたことあるか?」

「この村の先にか?……いや、わしは聞いたことはないな。」

「そうなのか、まあ、一応行ってみるか。」

「なら、わしは準備に入るから、また来るが良い。」


スタッ、スタッ、スタッ。

エインズは鍛冶に入る。


「そんじゃ、俺たちも先生の地図に記してくれた場所に行ってみるか。」

「うん!あ、お兄、ご飯だけ買っていい?お腹すいちゃった!」

「あ、賛成!あたしも買う!」

「あ、ああ。じゃあ、俺たちの分も頼むな。」

「了解!」


ダダダダダッ!

二人は全速力でご飯を買いに行く。


「食に関しては、あの二人にお任せするのが一番良さそうですね。」

「そうみたいだね、僕たちも足りないものがないか見ておこうか。」



ホープは力を手に入れる準備を終え、次の地へと向かうのであった。

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