第百二十一話 新たな敵、不安

正門前でスノウ達は新種のモンスターと遭遇。


いや、本当にモンスターなのかも怪しい物体と。



「このモンスターどこから!?あたしの目には何も映らなかったのに!」

「リサの目が悪いんじゃねえ、こいつは、だったんだ。でも、体を構成する全てを完全に消せるわけじゃない。だから、俺の第六感には引っかかった。」

「ピシャァ!!」


四足歩行の緑色のモンスターは、大きい目玉に尖った尻尾、全身はエメラルドのような光沢もあり、全長4mはあるであろう。そして、時折口からのぞかせる剣のような舌も特徴だ。



「セドくん!このモンスターについて何か情報は!?」

「悪いが分からない、こんな見た目のモンスターは王国の記録にも残されてない!新種というべきか、もしくは……。」

「キィャャア!!」


ブンッ!ブンッ!

尻尾から斬撃を放つ。


シュンッ!

「危ねえやつだ、とにかくここで倒すぞ!」


ホープは斬撃を避け、戦闘態勢になる。


「門番さん!至急リーさんに報告をお願いします!誰も町から出ないようにと!」

「わ、わかった!任せるぞ。」


タッ、タッ、タッ。

門番は町の中へ走る。



「ピィァァ!!」

モンスターの雄叫びはスノウ達の脳内に響き渡る。



「厄介な口から壊す!来い!セドリック!」

「分かった!」


ダダダダダッ!

二人は正面から突撃する。



「キシャァァ!」


ブンッ!ブンッ!

両手を鎌の如く振り抜く。


「遅いよ! 戦騎術センキジュツ! サン! 螺旋斬糸ラセンザンシ!」

「くらえ! 狼派七式ロウハナナシキ! 餓狼撃ガロウゲキ!」


ジャギーンッ!

二人の攻撃はモンスターの口に直撃。



しかし、全くダメージが見て取れない。


「硬いな、こいつ!」

「っ!?先輩!セドリックさん!避けて!」


ユキナの反応臭センサーが何かを感じとる。


「っ!?」

「シャァ!」


ドシャーッ!!

モンスターの口から毒のようなものが発射される。


ズザーッ!

ユキナの咄嗟の声のおかげで、二人はなんとか避ける。



ドロドロドロッ。

毒のかかった地面の草は、枯れるだけでなく周りまで伝染していく。


モンスターの近く一帯が淀み始める。



「くそっ、厄介だな、どうにか毒を止めねえと。」

「なら私の出番かな! 火蛇レッドスネーク! ご飯よ! 虎派九式コハキュウシキ! 蛇虎炎帝ジャッコエンテイ!」


ボォォ!

火で作られた蛇がホープとモンスターを含めた周りを火で囲む。


「ここがあたし達の戦闘ゾーン、ここより先は毒を通さない!」

「でも、リサが無防備になっちまう。」

「大丈夫です!私がリサさんを守ります!」


ジャキンッ!

ユキナがリサの前に立つ。


「分かった、いくぞ!」

「了解!」


リサは火を送り続けながら、ユキナが防衛役になる。


他四人は、モンスターに突き進む。



「キシャァァ!」


ブシュンッ!

毒の液がリサに向けて射出される。


「開け! 水面ウォーターサーフェイス! 鮫派五式コウハゴシキ! 逆槍陣サカヤリノジン!」


ザシュンッ!

ブシャァ!

槍を地面に刺し、水の壁を生み出す。


「ありがとうユキチン!」

「いえいえ!リサさんのことは私に任せてください!!」



シュンッ!

ヒメノが空高く飛び上がる。


風槍ウインドランス! 展開! 鷹派四式オウハヨンシキ! 風貫弾ドリルショット!」


キュイーンッ!

バギーンッ!


風をドリルのように回転させ、モンスターの腕を傷つける。


「やはり硬いですね、力だけじゃダメか。」

「セラ!あいつの尻尾を斬り落とす!」

「分かった!」


ダダダダダッ!

スノウとセラは尻尾側にまわる。


「シャァァ!」


ブンッ!

高速の尻尾攻撃がスノウを襲う。


「うぐっ!」


ガギーンッ!

スノウは尻尾を受け止める。


「馬鹿力が、セラ!」

「任せて! 希狼派八式キロウハハチシキ! 狼牙滑空斬ロウガカックウザン!」


シュンッ!

バギーンッ!


セラの空からの攻撃は、尻尾に少し刺さる。


「くっ、少しパワーが足りないーー。」


ピキーンッ!

セラがヒメノと感覚共有シンクロする。



「お願い!ヒメちゃん!」

「はい! 火槍ファイアランス! 展開! 鷹派十式オウハジュウシキ! 紅月コウゲツ!」


ボォォ!

ジャギンッ!


刀を刺したままセラは離れ、その刀を炎を纏ったかかと落としで叩きつけ、ヒメノが尻尾を貫く。


「イギャァ!」


ポトンッ。

尻尾が切り裂かれる。



「ナイス!次は俺たちだ!セドリック!」

「ああ! 来たれ!ヒカリよ! 上位魔法ジョウイマホウ! 光斧レイトマホーク!」


ブンッ!ブンッ!

光の斧が複数放たれる。


「キィィ!」


ガギーンッ!ガギーンッ!

両手で斧を叩き落とす。


「片手はもらうぜ! 氷付与アイスエンチャント! 狼派十式ロウハジュッシキ! 氷山一角ヒョウザンノイッカク!」


キュイーンッ!

ザシュンッ!


回転し、氷でできたドリルのような攻撃は、モンスターの右手を貫く。


「キシャァァ!」


ブンッ!

逆手がスノウに迫る!


「くそっ!」

「任せてください! 鷹派一式オウハイッシキ! 三日月ミカヅキ!」


バギーンッ!

ヒメノのサマーソルトで手を弾く。


「セドくん!」

「ああ!」


ズサッ!

二人はモンスターの後頭部に目掛けて、



「集まれ!ヒカリよ! 戦騎術センキジュツ! ジュウ! 光双連刃牙コウソウレンジンガ!」

雷充填ライトニングチャージ! 希狼派十式キロウハジュウシキ! 雷刃剣ライジンケン!」


光と雷の攻撃が重なり、


雷鳴サンダーボルト!」


バゴーンッ!

眩しい光の雷が、モンスターを打ち抜く。


「ウギャァ。」


シューンッ。

モンスターは何も残さず消える。



シュンッ。

リサが火の攻撃を止める。



「ふう、なんとか倒せたか。」

「うん、でもお兄。このモンスターも……。」

「ああ、何かが違う。」



やはりモンスターの素材は残っていない。


疑問の残る勝ちを得た彼らは、次の道を進もうとしていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る