第百四十七話 敵襲
各々の役割を終えたホープは一度宿屋で合流をした。
「セドリック、買い物はもう十分か?」
「ああ、必要なものは全て揃えられたよ、少し食料多めだけど……。」
「だって、これから長い旅になるんだよ!お腹空いて苦しむよりはいいでしょ!」
「まあ、大食いだから仕方ないよな。」
「あ??」
シラーッ。
スノウはそっぽを向き、リサの殺気を避ける。
「兄さん達はどうでした?」
「うん、エインズさんがすごいやる気になってくれてて、無理はしないでほしいとは伝えてきたけど、もしかしたら少し早く出来上がりそうだよ。」
「だったら、僕たちもいたグラズヘイムに行くことになってもいいように、今やれることをしとかないとだね。」
「セラ達はどうだった?」
スノウが情報を集めにいったセラ達に問いかける。
「それがね、少し嫌な噂が飛び交ってたよ。」
「嫌な噂?どんなものなんだい?」
「簡単にいうと、セラ達が王国に褒美をもらうために自作自演で町を救ってるってことかな。まあ、信じてる人ばかりでもなさそうだったけど。」
「はぁ!?」
スノウ達は驚きのあまり、目をまん丸にする。
「なんだよそれ!俺たちが何をしたっていうんだ!」
「落ち着いてください、兄さん!これは、王国がこの国の人たちを扇動するために張った罠に間違いありません。少しでも、私たちに協力的な人たちを減らしたいんだと思います。」
「そうだね、あたし達がこの噂に乗せられてのこのこ王国に出向いて、返り討ちに合うまでが王国側が作り上げたシナリオってところかな。はあ、イラつくったらありゃしないね。」
リサの冷静な言葉に、皆の表情が暗くなる。
「なら、俺たちがやることは一つだな。」
「先輩?」
「だってそうだろ?王国が正しいか、俺たち反乱軍が正しいか、この国の奴らに問い掛ければいい。」
「そんなこと、どうやってやるつもり?セラ達はたった六人なんだよ。ミーミル様達だって、かなり忙しいだろうし……。」
チラッ。
スノウはセドリックを見つめる。
「はぁ、まあ、なんとなくやりたいことは分かったよ。けど、本当にうまく行くかはわからないよ?」
「それでいい、成功する可能性が1%でもあるならやってみる価値はある。」
「さすが、うちのリーダーは前向きだね。分かった、僕に任せてくれ。」
「え?なになに?二人で勝手に進めないでよ!セラ達にもわかるように教えてーー。」
ドゴーンッ!
遠くから何かが爆発するような音が響き渡る。
「おいおい、なんだ!?」
「爆発の音的に、ノーアトューンにかなり近いです。モンスターでしょうか?」
「まあ、ここが危険なのは変わりない!行くぞ!」
「了解!」
ダダダダダッ!
ホープは爆発が聞こえた方へと走る。
ドガーン!!
ガゴーンッ!
そこには暴れているモンスターが数体いた。
「あいつらが原因だ!……って、なんだあのモンスター?また新種か?」
そこには大きなハンマーを持ち暴れているモンスターが二体。
ダダダダダッ!
ノーアトューンの外にいた人たちは、全速力で正門へ向け走る。
「早く村へ逃げるよ!」
「待ってよ!お母さーー。」
ズザーッ!
逃げていた親子の子供の方が転んでしまう。
「大丈夫!?ほら、立ち上がって!」
「う、うん。っ!?」
親子の目の前にハンマーを持ったモンスターが迫る。
「死ね!」
ブンッ!
大ぶりな一撃が迫る。
「くっ!」
母親は子供を庇う。
そして、二人は死を覚悟する。
バギーンッ!
何かがハンマーを弾き飛ばす。
「よお、何暴れてんだ、化け物やろう!」
「セラ達の前に出てきたのは、大間違いだよ!」
バゴーンッ!
スノウとセラの一撃が、化け物を弾き飛ばす。
「そのお姿、まさか、お二人は!?」
「お前らがホープか、邪魔をするとは。」
化け物は流暢に人の言葉を話す。
「だったらなんだ?お前みたいな化け物にまで知られてるなんて、光栄だな。」
「あなた、見た目からしてオークですね。しかも、今までとはまたちがう個体。」
「我らをあいつらと同じにするな。オークのような下等な存在とは違う、我らはさらに上をいくオーガだ!」
二体のオーガと名乗る化け物は、全身が赤色で、大きな牙に大きな耳、全てを破壊できそうな頑丈なハンマーと全てが桁違いなサイズ感。
威圧感もあり、普通の人間は睨まれただけで失神するだろう。
「ったくよ、少しは休憩させろっての!リサ!ユキナ!この親子を頼む!」
「分かった!そっちは任せるよ!」
「ああ!セドリック!俺と来い!そっちは任せるぞ、セラ!ヒメノ!」
「了解!」
ダダダダダッ!
スノウはセドリックと、セラはヒメノとツーマンセルでオーガと対峙する。
「ふっ、ホープの力は知っている、だからこそ、我々が選ばれた!そう簡単に死んでくれるなよ、裏切り者ども!」
「なんのことだかな!いくぞ!
シューンッ! ガギーンッ!
ホープとオーガの戦いの火蓋が切って落とされた。
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