最終章 英雄は真の英雄となる
第二百一話 合流、過去に何が
キィーッ。
スタッ。
白い扉からスノウが出てくる。
「ここは、さっきの場所とは違うな、どこだ?」
サッ、サッ。
辺りを見渡すが、誰も見当たらない。
「あいつら無事なのか?まあ、そう簡単に倒される戦士じゃねえか。」
キィーッ。
スタッ。
「あ、兄さん!」
「おっ、二番目はヒメノか。」
タッ、タッ、タッ。
スノウとヒメノが合流する。
「ヒメノ、怪我は?」
「大したことありません、兄さんは?」
「俺も問題ない。後の四人はーー。」
キィーッ。
スタッ、スタッ、スタッ、スタッ。
ほとんど同タイミングで、四人が出てくる。
「よしっ、でれた!あ、ヒメチン!」
「なんか奇妙な空間でした、あ!先輩!ヒメノちゃん!」
「ここが出口か、っ!よかった、合流できた。」
「よいしょっと!あ、みんな合流だね!よかった!」
スタッ、スタッ、スタッ。
ホープの六人が再集結する。
「全員生きてるな、ここまでは完璧か。」
「多分僕以外はそうだと思うけど、みんな五神と戦ったんじゃないかい?」
コクッ。
セドリック以外の五人が頷く。
「やはりそうか、だったら僕は試されたのかな。」
「試されたってどう言うこと?セドくんは誰と戦ったの?」
「デュポンさんだよ。」
「え?でも、デュポンさんって確か私たちがブレイザブリクで倒したはずじゃ……。」
ヒメノの言葉で、みんなの頭にブレイザブリクで戦ったデュポンの変わり果てた姿が浮かぶ。
「正確には、デュポンさんの記憶を入れられたクローンだけどね。その体を、オーディン本人が操っていた。」
「え、じゃあセドチンはオーディンと戦ったってこと!?」
「半分は正解かもね。ただ、本人の力を使えるわけじゃないから、言葉を聞いたくらいだけど。みんなの方はどうだった?」
セドリックが五人に問いかける。
「私はフレイヤと戦いました。」
「初めて俺たちが会った五神だな。」
「はい、ですがあの時の雰囲気とは違かったです。正直、殺しを楽しむ神と思ってましたが、何かを守るために力を振るってたみたいです。」
「その違和感だったら、あたしもトールから感じたよ!」
次にリサが話し始める。
「あたしはトールとまた戦ったけど、トールも何か理由があるみたいだった。自分の国がどうとか言ってたみたいだけど。」
「それはもしかしたら、私と戦ったフレイも同じなのかもしれません。」
「どう言うことだい?」
「フレイも、モンスターや他の生き物を操りたくて操ってたわけじゃないみたいです。彼女達を、私たちが知らない恐怖が蝕んでたみたいです。」
シーンッ。
その場が静まり返る。
「それで言うと、セラが戦ったイズンも似た話をしてたよ。」
次にセラが話し始める。
「イズンは本当は戦いが嫌いな神様らしいの。けど、何かに国を追われて、仕方がなく力をつけてギムレーでも生きようと足掻いてたようだった。」
「ロキもそんなこと言ってたな。」
「兄さんの方もですか?」
「ああ、ギムレーを自分たちの世界にしようとしてるのには何か訳がありそうだった。選択を間違えたと言ってたな。」
「そういうことか。」
セドリックが何かを閃く。
「何か分かったか?」
「ああ、多分彼ら五神も後悔してたんじゃないだろうか。」
「後悔ですか?」
「そう、彼らは他ならない外の世界から来た住人だ。けど、そこを追われなきゃいけない事件が起きてしまった。再びその事件を起こさないためにも、ギムレーでは自分達だけで解決しようとしたんじゃないかな?」
ドクンッ。
セドリックを除くスノウ達五人の心臓が大きく波打つ。
(セドリックの言う通りだ。スノウ、そしてホープの六人。ここからは選択してほしい。)
(何を選択するんだ?テュール。)
(俺たち神の過去の話だ。俺たちが知る記憶を、お前達の頭に直接流し込む。……けど、それはこれからオーディンと戦うお前達には必要のない情報だ。余計な負担を増やして、オーディンを倒せなかったら俺はーー。)
(じゃあ選ぶ必要もねえな。)
スノウは思い切りよく話を切り返す。
(分かった、じゃあこの話は聞かなーー。)
(俺たちに教えてくれ!)
(っ!?なんでだ!?お前達も薄々気づいてるはずだ、オーディンがただこの世界を奪おうとしてるわけじゃないって!もし聞いて、あいつを倒すことをためらったら、この世界は救われないーー。)
(それは聞いた後で判断する。いつもお前が言ってくれてるだろ、相棒。俺たちは、お互いを支え合う存在だ、大切な仲間のことを知りたいと思って何か悪いか?)
この会話は、他の四人の頭にも届いてたようだ。
(兄さんの言う通り、私も聞きたいです。)
(あたし達を何度も助けてくれたんだもの、助けられるならあたしは助けたい。)
(先輩達と同じです、全てを知るために、ここまで来たんですから。)
(セラも賛成!セラ達だって、無闇に倒したいわけじゃないし!)
テュールはため息をついたように感じた。
(分かった、なら六人全員に伝える。)
(セドリックは戦神がいないけど、どうすればいい?)
(全員で、手を繋いでくれないか?円を作るように。)
「セドリック、オーディンの過去を知る覚悟はあるか?」
「っ……なるほど、戦神が教えてくれるのか。もちろん、覚悟はできてるよ。」
「分かった、みんな。」
スサッ。
六人は円を作り手を繋ぐ。
(それじゃあいくぜ、
シュイーンッ。
スノウ達全員の中に、戦神の記憶が流れ込んだ。
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