第八十三話 襲撃、違和感

ドガーン!!ドガーン!!


一つ目の巨人、トロルとその周りにはゴブリンが複数体暴れている。


トロル……全身茶色でその手には大きな丸太を抱え、全長5mはあるだろう。ボロボロの布で作られた、原始人が着てそうな服を着て、筋肉の塊で体は作られている一つ目の巨人。



本来、化け物であるゴブリンやオークと、モンスターが共存する事はない。


なぜなら、お互いの生態が全く違うのだ。


だが、この状況はどう見ても共闘してるように見える。



辺りの畑や、木々を破壊し、確実にバッリへと侵攻している。


どこから現れたのかは分からないが、対処しなければいけないのは一目瞭然。



「外へ出てる者は早く村へ!戦える者は私と来い!」

ライトは上手く場をまとめ上げ、被害を抑えている。


ドタッ!ドタッ!ドタッ!

「グゴォ!」


ゴブリンがライトに襲いかかる。


「ちっ、はぁぁ!」


ジャギンッ!ジャギンッ!

ポトンッ。

ライトの素早い剣の二振りでゴブリンをクリスタルに戻す。


「ここまでの襲撃は久しぶりだな、やはりこれも、ホープの彼らを狙ってのことなのか?」

「ライト!」


ダッダッダッ!

スノウたちが合流する。


「おお、来てくれたか。」

「状況は?って、何だあのデカブツ!?」

「あれはたぶん、トロルだな。」


バゴンッ!バゴンッ!

大きな丸太を振り回し、辺りをぐちゃぐちゃにしていく。


「ですが、僕の知ってる限りトロルはモンスターですよね?なぜ、ゴブリンと共闘してるのでしょうか?」

「確かにそうだ、ただ、今はこの場をどうにかしなくては。」

「そんじゃ、俺たちに任せな!」


チャキンッ!

六人は武器を構える。


「なあ、ライト。見ててくれよ。」

「ん?」

「俺たちが、この世界に生きる人たちの希望、ホープとしてどれだけやれるのかを!」


ズザッ!

六人は一斉に攻めかかる。


「ユキナ!セドリック!俺と来い!反対側は、セラたちに任せる!」

「了解!」


ホープは二手に分かれ、ゴブリンたちを迎撃していく。



「並外れた観察力、迅速且つ的確な判断、そして、何よりもあの勇気。彼らは本当に、私たちの。」


タッタッタッ。

ライトは村の周りの警戒をしつつ、避難を急いだ。



まずは、ヒメノ、リサ、セラ側。


こちら側には、10体以上のゴブリンが暴れている。


「グキャ?奴らだ、殺せ!」


ドガッ、ドガッ、ドガッ。

ヒメノたちを視認したゴブリンはその重さで地面を凹ませながら、突撃してくる。


「さあて、いくよ!ヒメちゃん!リっちゃん!」

「はい!合わせます!」

「重たい話聞いて、少し沈んでたんだから!ここら辺でスッキリさせてもらおうかな!」


ダダダダダッ!

三人も真っ向から対峙する。


「グガァ!」


ブンッ!

大振りの斧が迫る。


「力比べ?いいよ! 虎派八式コハハチシキ! 虎牙剛斬コガゴウザン!」


バギーンッ!

リサの全体重を乗せ振り下ろした長剣が斧ごとぶち壊す。


「いきます! 火槍ファイアランス! 展開! 鷹派七式オウハナナシキ! 陽炎ヨウエン!」


ブオンッ!ブオンッ!

ヒメノの靴から火の斬撃が繰り出される。


「ウギャァ!」

ポトンッ。

一体撃破。


「いけぇ!殺せ!」

「そんな簡単に、死ぬつもりないよ! 雷充填ライトニングチャージ! 希狼派五式キロウハゴシキ! 破雷バラ!」


ビリビリビリッ!

セラの周りを電撃が走り回る。


「ウギャァ!」

迫っていたゴブリンはその電撃で痺れ、動けなくなる。


「セラチンさすが!いくよ!ヒメチン!」

「はい!畳みかけます!」


ピキーンッ!

感覚共有シンクロが発動する。


ズザッ!

バサッ!


リサは痺れてるゴブリンの前に立ち、ヒメノは真上に位置する。


火蛇レッドスネーク! ご飯よ! 虎派九式コハキュウシキ! 蛇虎炎帝ジャッコエンテイ!」

火槍ファイアランス! 展開! 鷹派七式オウハナナシキ! 陽炎ヨウエン!」


キシャア!

ブオンッ!ブオンッ!

蛇の形をした炎と、火の斬撃がゴブリンを襲う。


煉獄レンゴク!」


バゴーンッ!


二つの炎が爆発を起こし、ゴブリンは残り二体。



「ヒ、ヒギャァ!」


ズダッ、ズダッ、ズダッ。

二体のゴブリンは村とは反対側に逃げる。



「逃さないよ! 雷充填ライトニングチャージ!」


カチャッ。

シュンッ!


雷を纏ったセラは、逃げ出したゴブリンに雷の如く迫る。


希狼派三式キロウハサンシキ! 雷狼ライロウ!」


ジャキンッ!ジャキンッ!


ポトンッ。

こちら側のゴブリンは全てクリスタルに戻る。


「よしっ!一丁あがり!」

セラ達は敵を撃破した。




続けて、スノウ、ユキナ、セドリック側。


狼派四式ロウハヨンシキ! 牙突四閃ガトツシセン!」

「グギャア!」


スノウの高速の刺突が、四撃ゴブリンを貫きクリスタルに戻す。


鮫派三式コウハサンシキ! 破甲槍ハコウソウ!」

戦騎術センキジュツ! ハチ! 空光クウコウ!」


バゴンッ!

ザシュンッ!

ユキナの槍の衝撃波と、セドリックの空からの落下攻撃はゴブリンをクリスタルに戻す。


「さあて、そろそろ親玉とご対面か!」


ドスンッ!ドスンッ!

トロルがスノウ達に迫る。


「いけるな、二人とも!」

「ああ、いつでもいけるよ!」

「はい!私も……なに?この匂い?」


ユキナの反応臭センサーに何かが引っかかる。


「グォォー!!」

トロルは、地面にヒビを入れながら迫ってくる。


(なに?頭に何かくっついてる?機械というか、何だろ?人工物にしか見えないけど。)


「くるぞ!構えろ!」

カチャッ!


スノウ達と大型モンスター、トロルとの戦いが始まる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る