第十章 英雄は力を得て、記憶を知る
第六十話 新しい力、彼を知る時
ホープはハリソンの家に迎え入れられた。
キィーッ。
そっとドアを開けると、いろんな服が飾られている。
「おおっ!来てくれてありがとう。」
「こちらこそ、お招き頂きありがとうございます。」
先頭でヒメノがお辞儀をする。
ハリソンは六人を応接室に案内する。
「改めて、この町セクヴァベックの町長、ハリソン・ウェアーズです。この度は、私たちを助けてくださりありがとうございました。」
「いえいえ!こちらこそ、被害が少なくて良かったです。」
ヒメノが率先して会話をする。
「君らがここにきた理由は、
「はい、私たちそれぞれの装備が作ってもらえると聞いたのでミュルクヴィズから参りました。」
「そうか、頼りにしてくれて嬉しいよ、ありがとう。そしたら、一人ずつサイズを測っていこうか。」
パンッ!パンッ!
ハリソンが手を二回叩くと、奥から女性二人が出てくる。
「僕の工房を手伝ってくれてる弟子達だ。女性四人は、彼女達に測ってもらっていいかな?」
「分かりました。」
ヒメノを先頭に、四人は別室に向かう。
「そしたら、僕はスノウくんとセドリックくんの
「あ、僕は昔からこの防具を愛用してるのですが、これに改修とかはできないでしょうか?」
「もちろん、出来るよ!その防具をベースに改修してみよう!スノウくんは、何か希望はあるかい?」
「いや、俺には詳しいことわからないから、全てお任せで。」
スチャッ。ピシッ。カキッ、カキッ。
スノウとセドリックは首周りから胸囲、腕と足の長さ、戦闘スタイルにおいて使う頻度が高い筋肉、緻密な計測をハリソンにしてもらう。
「よし、計測はこれで終わり。やっぱり、一年も経つとスノウくんの体も変わるね。」
「俺が前に作ってもらったのは、一年前なのか?」
「そうだよ?覚えてないかい?まあ、修行で大変だっただろうから覚えてる方が難しいか。」
「……。」
スノウは何も答えられない。
そう、覚えていないのではない。忘れさせられたのだから。
「そしたら、僕は先に作業に入るからさっきの応接室に戻っていてくれ。出前を頼んでおいたから、ぜひ食べてくれ!」
「ありがとうございます。」
スタッ、スタッ、スタッ。
セドリックとスノウは応接室に向かう。
ところ変わって、別室。
「そしたら先に、セラさんと、リサさんから計りますね。」
「はーい!よろしくお願いします!」
スノウ達と同じく、体の隅々まで計ってもらう。
その姿を見て、ヒメノとユキナはヒソヒソ話し合う。
「ユキナちゃん、あの二人のスタイルどうなってるんですか!?足長すぎますよ!」
「確かに、それに身長も高くてすらっとしてる、モデル体型の鑑ですね。羨ましい……。」
「あの細い体から、スピードに乗ったセラさんとパワーのあるリサさんの攻撃は、理解ができません……。はぁー。」
二人はため息をついた。
「そしたら、次はヒメノさんとユキナさんお願いします。」
「はい、よろしくお願いします。」
ヒメノとユキナも同じように計られていく。
「皆さん、やっぱり細いですね。それなのにゴブリンを圧倒する力、本当に尊敬します!」
「いえいえそんな、大袈裟ですよ。」
ヒメノはチラッとユキナの方を見る。
「そしたら次は胸を計りますね。」
「っ!」
ヒメノはショックを隠せない。
なぜなら、自分はすぐ計り終わったのにユキナは計るのに少し苦戦しているからだ。
「ううっ、ここにも格差社会が……。」
「ヒメノちゃん!変なタイミングでがっかりしないでください!」
「ユキナちゃんは裏切り者です……。」
ヒメノはしょげている。
「ねえねえ、お姉さん!ちなみに、ユキチンの胸のサイズは??」
「あ、えーと、はちじゅうーー。」
「言わなくていいですから!」
「ちぇー!せっかくお楽しみが増えると思ったのに〜。」
「確かに、セラもユキちゃんのサイズ知りたいかも!」
四人は賑やかに話し合う。
これは、本来の16-17歳の一般の女の子達の会話なのかもしれない。
しかし、それは叶わなかったのがこの世界。
5分後、女性陣も応接室に戻ってくる。
「あ、みんな、こっちにきてくれ!」
「なにこれ!すごい!豪華なごはん!」
セラとリサは目を輝かせ並んでる料理に夢中。
「ハリソンが頼んでくれたんだ。せっかくだし、食べようぜ。」
「うんうん!セラたくさん食べたい!」
全員が椅子に座る。
「いただきます!」
六人は手を合わせ、各々食べ始める。
「兄さん、また肉ばかりになってますよ!」
「そんなことねえよ。ここに、少し野菜あるし。」
「お兄はやっぱりお肉ばかりなんだね〜。昔から変わらない!」
「なんでもバカみたいに食べる妹とは、比べられたくないな。」
六人は楽しげに食卓を囲む。
いっときの休憩だ。
「そうだ、セラさん。兄さんの昔話とかないんですか?」
「え、あ、えーと。あるにはあるけど……。」
「いいよ、セラ。そろそろ話そうと思ってたんだ。」
スノウは箸を置く。
「なあ、楽しい話じゃねえが聞いて欲しいことがある。」
「改まって何?珍しくスノウが真剣な顔してさ。」
リサは肉を飲み込み、スノウの方を向く。
食卓が静寂に包まれる。
「
「あー、あたしは名前は聞いたことあるよ。」
「だよな、それさ……俺のことなんだ。」
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