第百五十三話 第一の戦闘、喜び
ホープはヴィーンゴルヴへ向けて、グニパヘリルを出立していた。
「そろそろ何か出てきてもおかしくねえな、辺りが少しざわついてる。」
「そうですね、警戒は私に任せてください。地獄耳で感知してみせます。」
ヒメノが辺りを警戒する。
特にまだ変化はないようだ。
「それにしても大丈夫でしょうか、ミーミル様達の方も危険なのは変わりありませんし、私たちと同じルートでなくて……。」
「まあ、俺たちの方も安全ではないし、何より敵の戦力を割ける方がいいんじゃねえか?」
「そう考えるべきだろうね、五神やバルドルがまとめて出てこられては僕たちも相当苦戦するだろうしね。」
スタッ、スタッ、スタッ。
スノウ達は警戒しながら歩く。
「敵の戦力は、五神、バルドル、オーディンは確定ですね。ヴァルキュリア隊の人たちや、黒服を着てた流派を使う人達、あとはオーガですかね。……こう考えるとかなり多いですね。」
「ユキナくんのいう通り、相手は僕たちより数は多いし力も同等の人たちが多い。さらに警戒しなきゃいけないのは、ゴブリンやオークももちろん、改造されたモンスターもだね。」
「まあ、あたし達も作戦を立てて来てるんだし、少しは楽な道のりになってほしいな。」
ズザザッ!
何かが辺りを動く。
「っ!?兄さん達!何か来ます!」
「おいおい、いきなりすぎんだろ。」
「でも、少し前まで何も感じませんでした。私の
「もしかしたら、新しい転移の方法でも作り出したのかもしれないね。とにかく警戒を!」
ドゴーンッ!
10体は超えるオークがいきなり現れた。
「グガァ、お前達が、敵か!」
ドスッ、ドスッ、ドスッ!
地面を揺らしながら、オークが迫ってくる。
「お兄、これは準備運動ってことでいいのかな?」
「ああ、ここから先が長いから省エネで頼むぜ、みんな!」
「了解!」
ズザッ!
ホープは最初の戦闘に繰り出した。
「こいつらを通すな!殺せ!」
「さあて、俺たちはかなりしぶといぜ!
ジャギーンッ!
スノウの力強い一振りが、一体のオークを仕留める。
「ここから先は危険地帯だよ、あなた達にとって!
グルンッ!ザシュ!
早い蹴り技が、オークを貫く。
「いくよ、ヒメチン!
「はい!合わせます!
グルンッ!ズシャン!
ドゴーンッ!
リサの回転斬りと、ユキナの槍から放たれる衝撃波はオークを撃破する。
「セドくん!一気に行くよ!
「ああ!ほどほどにね!
スッ!ズサッ!
シュンッ!
セラの空からの攻撃と、セドリックの目にも留まらぬ早い一撃がオークを蹴散らす。
「まだまだ!俺たちの力はこんなものじゃねえぞ!」
ジャギンッ!ジャギンッ!
スノウ達はオークを圧倒していく。
「グギャ!」
ポトンッ。
クリスタルが多数こぼれ落ちていく。
「そろそろ終わりかなーー。」
スンッ!
ドスンッ!
どこからか再度オークが現れる。
「グガァ!!」
複数体のオークがスノウ達に迫る。
「おいおい、また増えやがったか?」
「みたいですね、これじゃあ消耗戦になりかねませんよ。」
スノウとユキナは背中合わせに構える。
「ここはとりあえず突破するのが先決かもね!」
「そうだね、僕たちの力も無限ではないからね。」
ズシャン!
ドゴーンッ!
ホープ達は少しずつヴィーンゴルヴへ向かう。
「けど、いくらオークとはいえセラ達にも負担は大きい、少しでも戦闘を避けないと!」
「そうですね、私たちは無駄に消耗するわけにはーー。」
シューンッ。
ズシャン!ズシャン!
「ウギャア!」
ポトンッ。ポトンッ。
どこからともなく数体のオークが消え去る。
「な、なんだ!?新手か?」
「わかりません、けどオークを倒した!?」
ズザーッ!
数名の白いローブを着た者達が、ホープの前に現れる。
「な、なに!?セラ達の敵!?味方!?」
「分かりません、警戒は怠らないでください!」
「その声、もしかして?」
ユキナの声に一人の白いオーブを着たものが反応する。
「ねえあなた達、ホープよね?」
「そ、そうですがあなた方は?」
「話は後よ、とにかく協力しましょう。」
(あれ?私、この声に聞き覚えがある?)
ズシャン!
ジャキンッ!
ユキナの頭に浮かぶハテナをよそに、白いローブを着てる者たちは、オークを倒していく。
「敵が同じなら、協力しないのは勿体無いな!俺たちも続くぞ!」
「了解!」
ズシャン!
ドゴーンッ!
ホープと白いローブを着た者たちはスピーディーにオークを倒していく。
「ウギャァ!」
ポトンッ。
最後のオークが倒され、その場に静寂が訪れる。
「ふう、ありがとうな、助かったぜ。」
「いえ、私たちもホープのお手伝いができて光栄です。」
「ところであなた方は?私たちを助けて頂けたということは、味方と考えてよろしいのですか?」
「そうですね、あなた方をフォローしに来ましたから。」
スタッ。
ユキナが話している女性の前に立つ。
「あの、間違えてたら申し訳ないのですが、あなたはーー。」
「あはは、間違えてないよ。さすが、ユッキーちゃんだね。」
「その呼び方、まさか!?」
バサッ!
その女性は白のフードを取る。
「久しぶりだね、ユッキーちゃん。また会えて嬉しいよ。」
「そんな、本当なの!?」
ユキナに大きな衝撃が走る。
「アヤちゃん……。」
奇跡的な再会が、ユキナの心に衝撃を与えた瞬間であった。
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