第百十六話 真の仲間
「姉さん!」
「セド!」
ガシッ!
セドリックはハルカの手を取り、受け止める。
ズザーッ。
土煙をあげ、セドリックは止まる。
「はあ、はあ、姉さん。」
「セド、セド!」
ガシッ。
ハルカはセドリックに顔を埋める。
「ごめんなさい、姉さん。こんなにも、迎えにくるのが遅くなってしまって。」
「ううん、いいの。こうしてまた出会えた、触れることができた。それが、何よりも幸せ。」
ハルカは笑顔を見せる。
「ありがとう、姉さん。」
ポトンッ。
セドリックの涙が、地面を濡らす。
「ふふっ、泣いてると男前の顔が台無しだよ。」
「そんなことがどうでもいいくらい、僕は今嬉しいんだ。」
「ありがとう、ねえ、セド。」
ハルカはセドリックの顔を包む。
「ただいま、セド。」
「っ、うん。お帰りなさい、姉さん。」
二人は長い時を経て、再開を果たすことができた。
「ぬぉぉ!ふざけるな!」
ドゴーンッ!
「ちっ!」
バルドルが闇の波動でスノウ達を弾き飛ばす。
「リーンベル!お前は契約に背いた!デュポンのように、お前も死ななくちゃいけねぇんだよ!」
「そうか、だったら、俺たちを倒してから行け。」
ズンッ!
その姿は、この世界の最強そのものだ。
スタタタタッ。
「隊長!」
スノトラはセドリック達に寄り添う。
「くっ!舐めるな!
ドゴーンッ!
大きなトゲトゲした闇の塊が投射される。
「ここは!」
「あたし達に任せて!」
ヒメノとリサが前に立つ。
「はぁぁ!!
「敵を焼き尽くせ!
二人の技が重なり、
「
バゴーンッ!
ヒメノの脚から巨大な炎が投射され、その炎を取り込んだリサの大きない火の龍が闇の塊を飲み込む。
「くそが!ならこいつらで!」
シュンッ!シュンッ!
二つのクリスタルが投げられる。
「やらせません!
パシュンッ!パシュンッ!パシュンッ!
踊るように水を纏った槍から飛び出した水の鮫が、解放される前のクリスタルを砕く。
「ちっ!このガキが!」
「もう少しやれるか、セラ?」
「うん!あいつに、一泡吹かせてやるんだから!」
ゴォォー!!
二人の力が増幅する。
「行くぞ!」
「任せて!」
シュンッ!シュンッ!
二人はバルドルを挟み込む形でジャンプする。
「じゃまだ!!」
ボォォ!
バルドルは闇の炎を二人へ放つ。
「止まって見えるぞ、ゲス野郎が!」
これもコンマ数秒のこと。
投射される炎を瞬時に躱し、二人は武器を構える。
そして、二人は縦回転しながらバルドルに迫る。
「吹き飛べ!
グルルルルッ! ジャギンッ!ジャギンッ!
豪雨の如く早く重い縦回転の攻撃が、バルドルの両腕を斬り落とす。
ズザーッ!
二人は地面に降り立ち、バルドルへ振り向く。
「うぁぁ!!くそが、くそが!!」
「そんくらいの痛みじゃ、今までお前が苦しめて来た人の痛みを精算できねえぞ!」
「うぅ、そうか、ホープ。そんなに戦争がしたいのか!」
ギロッ。
バルドルは苦しみを顔に浮かべながらも、ホープを睨む。
「それがお前達の望みなら、喜んで叶えてやろう!俺たち王国は、お前達反乱分子に対して徹底した排除行動を始める!生き残れると思うなよ!」
「来るなら来いよ!お前が俺たちの大切なもん奪いにくるなら、俺たちが全部ぶっ飛ばしてやるよ!!」
「いい気になっていられるのもこの瞬間までだ、せいぜい死なないよう頑張れよ。」
シュイーンッ!
バルドルは闇の中に消えていく。
フォールクヴァングでのセドリック奪還作戦は、なんとか成功を果たした。
辺りは傷だらけであり、怪我を負った者もいたが彼らの勝ちと言って問題ないだろう。
「
「
「
シューンッ。
全員が力を停止させる。
「うっ。」
「セラッ!」
ガシッ!
ふらついたセラの体をスノウが支える。
「えほっ、えほっ。少し無理しすぎちゃったみたい。」
「無理をさせたのは俺のせいだ。ありがとうな、こんなに頑張ってくれて。」
「当たり前じゃん。セドくんを取り戻すためだったんだもん。でも、少し休憩したいかな。」
「ああ、ゆっくり休ませてやる。」
ズサッ、ズサッ、ズサッ。
セドリックがセラの方へ向かう。
「セラくん、僕は。」
「お帰りなさい、セドくん。」
「っ!?そんな、僕は君のことをーー。」
「いいの!セラは、セラがやりたいことをしただけなんだから。まあ、後でケーキでも奢ってくれたら尚嬉しいけど。」
「……分かった。いくらでも、いつでも奢らせてもらうよ。」
セドリックの顔に少し笑顔が戻る。
「なあ、セドリック。」
スノウはセドリックの目を見つめる。
「……。」
黙ったままの空間が続く。
スタッ、スタッ、スタッ。
ホープとスノトラも集まる。
「っ、ぁ、う。」
何かを話そうとするが、セドリックの口から言葉は出てこない。
スサッ。
スノウは手を伸ばす。
「おかえり、セドリック。」
微笑んだ顔が、セドリックを迎える。
「スノウ……。」
セドリックは手を伸ばすのを拒む。
「お帰りなさいませ、隊長。」
スノトラも微笑みかける。
「お帰りなさい!」
「おかえり、セドチン!」
ヒメノとリサも手を伸ばす。
「お帰りなさい!」
「おかえり!」
ユキナとセラも手を差し伸べる。
「う、うう。」
ポトッ。ポトッ。
その姿を見てセドリックは涙を流す。
「ああ、ただいま、みんな。」
セドリックは重荷の開放と共に、真の仲間達と再び合流することができた。
第十八章 完
◆◆◆お礼・お願い◆◆◆
第十八章まで読んで頂きありがとうございました。
セドリックは闇に呑まれながらも、ホープ達の助けによって自分を取り戻し、大切な姉も取り返すことができました。しかし、バルドルから告げられた戦争宣言。一体、何が起きるのか
スノウ達の今後を気になってくれる方!
セドリックの存命にホッとした。 次は何が出てくるの!?
ホープの六人を応援してるぞ!
と思ってくださいましたら、
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ここまで読んで頂きありがとうございます!今後とも宜しくお願いいたします!
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