第二百十一話 終焉
「殺す、殺す!」
シュイーンッ!シュイーンッ!
数えきれぬ闇のビームがホープを襲う。
「オーディンを闇から解放する、全員、死なない程度に死ぬ気でいくぜ!
パキパキッ!パキパキッ!
飛び交う闇のビームをスノウの氷の刃で、一つの氷の柱に変えていく。
「良い足場、スノウ、借りるよ!
ガォァ!!
リサの咆哮がさらに闇のビームをかき消す。
そして生まれた、オーディンの体までの一瞬の隙。
「待ってました!
ビリリリリッ!
シュンッ!シュンッ!
雷を纏った刀がオーディン目掛け飛んでいく。
ガギーンッ!
しかし、闇の鎧のようなものを着たオーディンには傷も入らない。
「硬いなんてものじゃない、気を付けて!普通の攻撃じゃ意味なさそうだよ!」
ボァァ!!
突如セラの足元に闇の円形の魔法陣が浮かび上がる。
「そんな、いつの間にーー。」
「セラっ!」
ドガーン!!
ゴロロロンッ!
スノウが咄嗟に反応し、セラを庇いながら転がり避ける。
「ありがとう、お兄。」
「今のあいつは、これまでとは比べ物にならない強さだ、何か方法を考えねえと。」
「先輩!セラさん!避けて!」
シューンッ!シューンッ!
スノウ達の周りを闇の魔法が囲む。
「くそっーー。」
「任せて!
バリリリリッ!
バゴーンッ!
雷の薔薇がスノウ達に覆い被さるように展開される。
「二人とも!」
「なんとか大丈夫だ!っ!?セドリック!後ろ!」
「なっ、ぐはっ!」
ガゴーンッ!
闇の荊のようなものが、鞭のようにセドリックを打ち抜く。
「セドリックさん!」
シュンッ!
ガシッ!
ヒメノが持ち前の軽やかさでセドリックを支える。
「すまない、ヒメノくん。」
「いえ、ですがこれでは近づくこともできない。」
「ぐぉぉぉ!!!」
シュンッ!シュンッ!シュンッ!
闇のビームがたくさん放たれる。
「闇を祓う必要があるな、何か方法はーー。」
ピキーンッ!
スノウの頭の中に、ホープの四人でデーモンを倒した記憶が蘇る。
「そうか、
「お兄!ぼーっとしないで!
バリリリリッ!
雷の波動が、スノウとセラを守る。
「わ、悪い。けど、解決策はあるかもしれねえ。」
「オーディンを倒す方法ってこと?どうやって?」
ピキーンッ!
スノウが
「確かに、あの技は私たちが全員揃って完成するって言ってましたね。」
「あたし達には、全属性魔法が揃ってる、もしかしたら!」
「セドリックさん!耳を貸してください!」
「ああ……、なるほど、やってみる価値はあるな。」
チャキンッ!
六人は再度武器を構える。
みんな体はボロボロ、しかし、諦めてはいない。
「長期戦は不利だ、一気に行くぞ!」
「了解!」
ズザッ!
全員がオーディンに向け突き進む。
「うごぉぉ!!」
ヒュンッ!ヒュンッ!
闇の荊がスノウとセラを襲う。
「セラ達が切り裂く!
「一つも残さねえぜ!
バリリリッ! ジャギンッ!
パキパキパキッ! ヒュンッ!ヒュンッ!
高速の雷の攻撃と、氷で作られた無数の刃が闇の荊を打ち砕いていく。
「少しは大人しくしなさい!」
「砕けろ!」
ガギーンッ!
二人の攻撃が、胸の闇の鎧の部分に傷を入れる。
「次は私たちが! 私の手となれ!
「道を開く! 集まれ!
ブシャンッ!
ピキーンッ! ジャギンッ!ジャギンッ!
水でできた鮫が闇のビームを飲み込み、開かれたオーディンへの道を光の刃を持ったセドリックが突き進む。
「これならどうだ!」
ガゴーンッ!
バキキッ!
さらに胸の闇の鎧がひび割れる。
「うがぁぁ!!」
バゴーンッ!
闇の波動を部屋全体に放つ。
「うはっ!」
ズザーッ!四人は吹き飛ばされる。
だが、ヒメノとリサの姿がない。
「うが!?」
バサッ!
ヒメノがリサの手を掴み、空を舞う。
「空から失礼! 全てを燃やし尽くせ!
ボォォォ!!!
炎の動物と共に、炎の爪を纏ったリサが直滑降する。
「さらに加速しますよ!
ブォォ!!
ヒューンッ!!
炎と風の竜巻がリサを覆う。
「うがぁぁ!!」
「砕けなさい!」
ガゴーンッ!
バギンッ!
闇の鎧が胸から砕け散る。
「うがぁ、げほっ。」
ドシンッ。
オーディンは片膝をつく。
ピカーンッ!
オーディンがホープから目を離した瞬間、辺りが眩しく光り輝く。
そう、全員が魔法をその手に宿しオーディンの頭上に向け放っていた。
「うがぁ!?」
「これが、俺たちの最後の技、オーディン、あんたから教わった技だ!」
「ぐぉぉ!!」
バゴォーン!!
魔法が結集している頭上に向け、闇の巨大なビームが放たれる。
ガギーンッ!
闇の魔法と、六人が結集させた魔法がぶつかり合う。
「くっ、すごい闇の力。」
「だけど、僕たちはここで負けるわけにはいかない!」
シュイーンッ!
さらにホープの力が増幅する。
(テュール、終わりにするぞ。俺たちの、この世界の未来を作るために、この戦いに終止符を打つ。)
(ああ、頼むぜ、相棒、スノウ・アクセプト!)
「全てを賭けろ!この一撃に!」
「もちろん!」
「OK!」
「分かりました!」
シュイーンッ!
さらに魔法が増幅していく。
「うがぁぁ!!」
「うぉぉぉ!!!!!終わりだ、オーディン!!」
ピキーンッ!
全員が
そこには、戦神の意思も合わさっていた。
「はぁぁぁ!!この世界を作り出す力となれ!全ての希望となる始まりの光!
シュイーンッ!
ドゴーンッ!
火、水、風、氷、光、雷が合わさった一筋の光が、オーディンに向け降り注ぐ。
「うぐぁぁ!!」
オーディンは闇の力で耐えようとする。
「終わりだ、オーディン。安らかに眠れ。」
ガゴーンッ!
オーディンを
「うがぁぁ!!」
パリーンッ!
オーディンを纏っていた闇の鎧が全て砕け散る。
バタンッ。
そして、倒れ込む。
オーディンは元の姿に戻っていた。
「終わった、のか。」
部屋に静寂が流れた。
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