最強の俺たちが国王に記憶を消されたので、どんな手を使ってでも成り上がってやる件

第百三話 戦乙女との戦い

まずは、リサとヒメノ達のサイド。

「貴様らと関わったせいで、隊長は国王様に！！」

「だから、あたし達と協力して助けに行って欲しいのよ！」

「そんな言葉、信じられるか！　戦姫初式（センキショシキ）！　竜剣（リュウケン）！」

「本当に、堅物の人が多いな！　虎派一式（コハイッシキ）！　猛虎（モウコ）！」

バキーンッ！

戦乙女の突進とリサの縦斬りがぶつかり合う。

「その言葉を信じて、あたし達まで捕まるわけにはいかない！」

「あたし達がセドチンを裏切ったと思ってるの！？」

「でなければ、あの隊長が戻ることはありえない！まだ、やり残してることがあるのだから！」

「リサさんから離れて！　鷹派二式（オウハニシキ）！　鷹弾（イーグルシュート）！」

シュンッ！

戦乙女の眼前をヒメノの蹴りが貫く。

「くっ、隊長は、隊長は！！　戦姫中式（センキチュウシキ）！　迅翼撃（ジンヨクゲキ）！」

「だから！話を聞いてください！　鷹派一式（オウハイッシキ）！　三日月（ミカヅキ）！」

バキーンッ！

リサのサマーソルトと戦乙女の硬い翼が弾き合う。

「ヒメチン！合わせて！」

「はい！」

スタタタタッ！

リサとヒメノが挟み込む。

「いきます！　火槍（ファイアランス）！　展開！　鷹派七式（オウハナナシキ）！　陽炎（ヨウエン）！」

「飛んで！　火鳥（レッドバード）！　虎派五式（コハゴシキ）！　赤飛剣（レッドサーベル）！」

シュンッ！シュンッ！

ブンッ！

二つの斬撃と、リサの炎を纏った剣が戦乙女に突き進む。

「舐めるな！　戦姫中式（センキチュウシキ）！　迅翼撃（ジンヨクゲキ）！」

ガギーンッ！

二つの翼で、二つの火の攻撃を防ぐ。

「くっ、これが、ホープの力ーー」

「顎（アギト）！」

バゴーンッ！

斬撃と長剣がぶつかり合い爆発し、辺りが火で覆われる。

「げほっ、げほっ。隊長は、こんな奴らを一人で……。」

「さあ、少し落ち着いたかな？」

「あたし達に敵意はありません。セドリックさんのことを、今のグラズヘイムのことを知りたいんです。」

「くそ！お前達の言葉を信じるほど、あたしはバカではない！」

シュンッ！

戦乙女は空を舞い、距離をとる。

続けて、セラとユキナのサイド。

「あなた達は、なぜセドリック隊長と共に行動していたの？隊長の同行していた理由を知ってるの？」

「セラ達は知らないよ。……ただ、セドくんはとても苦しそうだった。それを、セラ達に話してくれることはなかった。」

「それはそうね、あなた達に話すことは、絶対にできない！　戦姫初式（センキショシキ）！　竜槍（リュウソウ）！」

「セラ達はヴァルキュリア隊と戦いたくはないの！」

ブンッ！

シュンッ！

スピードに乗った槍の一撃を、セラは華麗に避ける。

「隊長の目的を果たすには、こうするしかないの！」

「なら、私たちにも死ねない理由がある！　鮫派二式（コウハニシキ）！　断空槍（ダンクウソウ）！」

「くっ！」

バギーンッ！

ユキナの鋭い突き攻撃が、戦乙女の剣とぶつかり合う。

「セドリックさんの目的ってなんですか？教えてください！私たちにも、協力できるかもしれません！」

「それはできない！あなた達には、絶対に！」

ガギーンッ！

ユキナと戦乙女は距離を取る。

「なら一つ教えて！セラ達とあなた達ヴァルキュリア隊がここで戦う理由に、セドくんは関係してるんでしょ？」

「そ、それは……。答えても、何も意味がない。お願い、私たちの言うことを聞いて！　戦姫中式（センキチュウシキ）！　迅翼撃（ジンヨクゲキ）！」

「ごめんね、ついて行けない。セラ達もやらなきゃいけないことがある！　雷充填（ライトニングチャージ）！　希狼派九式（キロウハキュウシキ）！　電光石火（デンコウセッカ）！」

シュイーンッ！　ジャキンッ！ジャキンッ！

二人の高速な攻撃がぶつかり合う。

「くっ、やはり本物なのね、ホープの強さは。」

「あなた達もだよ！この強さがあるなら、セドくんを助けられるんじゃないの！」

「私たちに、それは出来ない、出来ないんだ！」

バキーンッ！

二人が距離を取る。

「今度は私です！　鮫派六式（コウハロクシキ）！　鮫肌（サメハダ）！」

ジャギーンッ！

ユキナの回転斬りが戦乙女の右手をかすめる。

「うっ、やはり部が悪いか。」

「おいっ！撤退するぞ！」

「っ！？分かりました！」

シュンッ！シュンッ！

二人の戦乙女はその場から飛んで遠ざかる。

リサ達とセラ達の戦いは終わった。

「なんで手伝わせてくれないの、あなた達も迷ってるんでしょ。じゃなきゃ、セラ達がこんな簡単に勝てるわけがない。」

飛び去っていく後ろ姿に、悲しさを感じた瞬間だった。

最後に、スノウとスノトラの戦い。

「さあて、スノトラ。俺たちも派手にやるか？」

「……分かりました。参ります！」

ガギーンッ！ガギーンッ！

スノウの刀とスノトラの槍がぶつかり合う。

「はぁぁ！」

「やぁ！」

ガギーンッ！

二人の攻撃がつば競り合う。

「スノトラ、俺に考えがある。多分、お前の考えてることと同じはずだ。」

「私の考えてる？……まさか、あなた方が？」

「今はお前の仲間の視野から消えるまで、続けるぞ！」

ガギーンッ！　ガギーンッ！　ガギーンッ！

何回も刀と槍がぶつかり合う。

「兄さん！」

「お兄！」

ダダダダダッ！

他の四人がスノウの元に走る。

「ふっ、さすが俺の仲間だ。」

「はい、これで、私の意思も決まりました。」

カチャッ。

二人は武器を下ろす。

「え？な、なに？」

リサが問いかける。

「スノトラ、お前の口から聞かせてくれ。お前達は、何を願う？」

「……、はい。厚かましいとは重々承知してます。ですが、お願いです。隊長を、救ってください。」

ガシャンッ。

スノトラは頭を下げる。

彼女は何を知っているのだろうか。