第百四話 覚悟を決めた者たち

スノトラはスノウ達に直角に頭を下げる。


その姿は、少し前のセドリックの姿と被る。


「ああ、当たり前だ。俺たちの仲間を見捨てるわけないだろ。」

「……ありがとう。全てを話したい、聞いてくれるか?」

「頼む。俺たちも、セドリックの現状を知りたいんだ。」



スノウ達は戦いを終え、スノトラと情報の共有をする。


「まず、セドリック隊長がなぜあなた達に合流したのか、そこから話させてくれ。」

「やっぱり、何か理由があるんだな?」

「はい。……隊長の任務はこの国の全ての町や村を王国に服従させること。そして、あなた達ホープをすることが最優先だった。」

「そんな!?でも、セドリックさんは私たちに優しくしてくれました。」


ヒメノは驚きのあまり、慌て始める。


「そう、ビフレストであなた達に会うまでは、ホープを倒すつもりでいた。……けど、オーディン様から知らされていたホープの実態は、全く違った。」

「なるほどね。セラ達はとてつもない悪者として教えられたってことだね。そして、あの真面目なセドくんは目にしたホープの姿を見てオーディンに疑問を感じ始めた。」

「そういうことです。隊長はあなた達が本当に信頼に値する存在か確かめるために、ブレイザブリクで行動を共にした。」

「……。」


スノウはブレイザブリクでセドリックと話したことを思い出す。



「分からないんだ。何が正しくて、何が間違いなのか。僕の、正義は……。」

「なら、お前は俺の罪を忘れないでくれ。お前の中で決断した時、俺を裁いてくれ。」


スノウはセドリックと約束をしていた。

お互いの道を示すために、存在し合うことを。




「俺は、約束を違えるつもりはないぞ。」

スノウはボソッと呟く。


「兄さん?」

「俺は、セドリックと約束した。俺が間違えた時は、セドリックが俺を裁くと。そして、俺はリーダーとしてあいつが苦しんでる時は必ず手を差し伸べると。」


スノウの目には強い意志が宿る。


「ホープの皆さん、セドリック隊長は今、王国でバルドル様の管理下で監禁されています。ですが、三日後にある町へ向かうことになってます。」

「スノチン、どこなの?」

「……、フォールクヴァングです。」

「っ!?」


スノウ達は目をまん丸にする。


「うそだろ?なんでフォールクヴァングに!?あそこはただの村だぞ!俺たちホープと何も関係ない!」

「これは私の推測ですが、オーディン様はあなた方が最初にたどり着いたのがフォールクヴァングと知ってるのかもしれません。そして義理堅いあなた達だから、その村に隊長を向かわせることで衝突させようとしてるんだと思います。」

「そんな!……、先輩。」


空気が重くなる。


その空気を、スノウが破った。



「迷うことねえ。乗ってやるよ、どんな罠が仕掛けられてようが、ぶち壊してやる。」


ザバッ!

スノウは勢いよく立ち上がる。


「そうですね!兄さんに賛成です!」

「あたしも!むしろ、向かわないなんて選択肢はないよ!」

「みなさん、危険なのは確定してます。あなた達が、……。」


スノトラはホープを心配する。

その手は、何も出来ない自分の弱さに震えている。



「そんなの関係ありません!私たちは、セドリックさんを助けたい!スノトラさんと同じ気持ちです!」

「そうだよ!それに、セラ達がそう簡単に負けると思う?なんてったって、なんだよ?」


ユキナとセラも自信満々。


スノウ達は全員が同じ方向を向いていた。

セドリックを助けることに迷いはない。



「……すまない、本当にありがとう。」

「こっちこそお礼を言うぜ。スノトラのおかげで、事態の緊急性に気付かせてもらえた。よし、次の行く場所は決まったな!」

「うん!セラ達が向かうのは、フォールクヴァング!!」

「おぉー!!」


ホープの五人は拳をあげる。


「スノトラ、お前も来てくれるか?」

「ああ、ぜひ連れてってくれ。私も、隊長を助ける手伝いをしたい。」


ホープはスノトラと向かい合う。



「それじゃあ、少しの間かもしれねえがよろしくな。スノトラ。」

「はい。こちらこそよろしくお願いします。」


ガシッ。

スノウとスノトラは固い握手をする。


こうして、ホープとヴァルキュリア隊の合同チームが出来た。


彼ら六人は出発の準備を進め、フォールクヴァングに歩を進めた。



◆◆


ここは、とある場所の牢獄の中。


「えほっ、えほっ。」

鎧を着た青年が咳き込む。


スタッ、スタッ、スタッ。

一人の人間が牢屋の扉を開く。


「出番だ、隊長さん。」

「……、はい。」


ガチャッ。

青年は立ち上がり扉を開けた人間についていく。



牢屋に続く松明が、青年の顔を照らす。



「さあ、仕事を頼むぞ。セドリック隊長。」



ここから、大きな戦いが生まれる。



第十六章 完


◆◆◆お礼・お願い◆◆◆


第十六章まで読んで頂きありがとうございました。


ヴァルキュリア隊のことを知り、協力してセドリックを助けにいくことになりました!

同じタイミングで、王国でもある動きが。


スノウ達の今後を気になってくれる方!

セドリックに何があったの!? 謎が解明される!?

ホープの六人を応援してるぞ!


と思ってくださいましたら、

ぜひ、レビューや★評価とフォローをお願いします!


ここまで読んで頂きありがとうございます!今後とも宜しくお願いいたします!

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