第七十三話 二度目の襲来、水雷

ユーダリルからブレイザブリクまでは、歩いて三時間。


しかし、特殊な訓練を受けてたホープの六人は走って一時間もかからずたどり着けるだろう。



「セドリック、さっきのやつから何か情報は?」

「オークとゴブリンが多数としか、後は……。」

「後はどうした?」

「いや、こっちは目で確認してからにさせてくれ。」


タッタッタッ!

ホープはブレイザブリクに近付く。


「あっ!みんな!ブレイザブリクが見えてきたよ!あたしの眼で見えるから、後500mくらい!」

「分かった、全員戦闘準備!」

「了解!」




ところ変わり、ブレイザブリクの正門付近。

二体のゴブリンが二人の兵士と戦っている。


「ガァ!」

ブンッ!


「うわぁ!」

一人の兵士がゴブリンに吹き飛ばされる。


「くそっ、なんでこんなにこいつらが!」

「殺す、終わり。」


グワンッ。

一体のゴブリンが棍棒を振りかざす。


「くそっ!」

兵士は目を瞑ると、


シュンッ!ズシャッ!

狼派一式ロウハイッシキ! 迅狼ジンロウ!」

「ウギャァ!」


スノウの高速な攻撃が、ゴブリンを斬りふせる。


「なんだ!?」

雷充填ライトニングチャージ! 希狼派三式キロウハサンシキ! 雷狼ライロウ!」


ビリビリッ!ジャキンッ!

セラの雷を纏った一撃が、目にも止まらぬ早さでゴブリンを倒す。


ポトンッ。

クリスタルが二つ落ちる。


「た、助かった?」

「おい、町の状況は?」

「は、はい!町の正門はなんとか死守。ただ、主戦力は裏門から迫っています。」

「OKだ、いくぞお前ら!」


ダダダダダッ!

ホープは裏門まで走り抜ける、



「グギャァ!」

「殺す、殺す!」

ドガンッ!ボガンッ!


オークとゴブリンが柵や、家を壊す。


「くそっ!住民を最優先に!」

「皆さん!早く城に!」

兵士たちが住民達を避難させている。


「なんでここにゴブリンが!」

「怖いよ、怖いよ。」

住民も走って城に向かう。



ドスッ、ドスッ。

見た感じ、ゴブリンは20体、オークは6体ほど見える。


「くそっ、援軍はまだかーー。」


シュンッ!

何かが兵士の真横を通り過ぎる。


虎派三式コハサンシキ! 虎走コバシリ!」


ズシャッン!

リサは長剣を逆手持ちし、風に乗った一撃はゴブリンの足を斬り裂く。


「ウギャア!」

戦騎術センキジュツ! イチ! 一閃イッセン!」


ズシュンッ!

セドリックの直剣がゴブリンの頭を貫く。


ポトンッ。

クリスタルの姿に戻る。


「セ、セドリック隊長!」

「よく耐えてくれた!ここは僕たちが引き受ける!君たちは、住民の避難を!」

「か、かしこまりました!」


スタタタタッ。

兵士は住民を誘導しにいく。


「さあて、セドリックどういく?」

「いいのかい?僕が指示して?」

「ああ、たまにはお前のヴァルキュリア隊でやってるような指示見せてくれよ。」

「分かった。」

六人は武器を構え、ゴブリン達と対峙する。


「よし、スノウとリサくんは東側のオークの撃破!ユキナくんとセラくんは西側のゴブリンを!僕とヒメノくんで目の前の敵を!」

「了解!」


ザザッ!

ホープはゴブリンとオークと戦い始める。



まずは、ユキナとセラサイド。


ゴブリンが10体ほど目に映る。



「さあて、ユキちゃん!派手にやろうね!」

「はい!この装備の力、見せていきましょう!」


ビリビリビリッ!

ザァァァー!


セラの周りにはビリビリと小さな雷光が、

ユキナの足元には、水が渦巻いている。


これも防具の効果だろう。


「グガァ!殺せ!」


ドスッドスッドスッ!

10体のゴブリンが突撃してくる。


ズザッ!

セラは空高く飛び、

「いくよ! 希狼派八式キロウハハチシキ! 狼牙滑空斬ロウガカックウザン!」


ジャキンッ!ジャキンッ!ジャキンッ!

縦回転しながら、ゴブリンを斬り裂く。


「グギャァ!」


ビリリ、ビリリッ。

その傷跡には、電気が纏っているようだ。


(あの電気、使える!)


ピキーンッ!

ユキナの記憶が呼び起こされる。


水面ウォーターサーフェイス! 壁を作れ! 鮫派八式コウハハチシキ! 水刃牙スイジンガ!」


ザザーッ!

シュピンッ!シュピンッ!シュピンッ!

目の前に浮かんだ水の壁を、ユキナは槍で斬り裂き、水の斬撃として形を変え三発放つ。


「ウギャァ!」


ポトンッ。

クリスタルとなり落ちる。


「ギィ、くそがーー。」


ビリリ、ビリリッ。

「イギャァ!」

セラの雷にユキナの水の斬撃が触れ、周りのゴブリンまで痺れさす。



「ナイス、ユキちゃん! 止まってるなら遠慮なく! 雷充填ライトニングチャージ! 希狼派九式キロウハキュウシキ! 電光石火デンコウセッカ!」


シュンッ!ジュサンッ!

「イギャァ!」


一列に並んでいたゴブリン三体を、雷の如き早さで二回斬り裂く


ポトンッ。

こちらもクリスタルとなる。



「くそっ、怯むな!」

ドス、ドス!


ガギーンッ!ガギーンッ!

ゴブリンの斧とユキナの槍がぶつかり合う。


「体が軽い、これなら!セラさん!」

「オッケー、分かるよ!」


ガギーンッ!

セラは刀で斧を弾き、ゴブリンを挟んでセラとユキナは対面に位置する。


(行ける、ユキちゃんとなら!)

(セラさんに、合わせる!)


ピキーンッ!

ダッ!

二人が一斉に動き出す!


雷充填ライトニングチャージ! 希狼派七式キロウハナナシキ! 紫電衝破シデンショウハ!」

鮫派三式コウハサンシキ! 破甲槍ハコウソウ!」


ドゴゴォン!

ドゴゴォン!

二人の武器から衝撃波が放たれ、ゴブリンを両側から貫いていく。


アギト!」

バゴーンッ!


二人の完璧な攻撃は、ゴブリンを消し飛ばす。


全10体のゴブリンは倒された。


「さっすが、ユキちゃん最高!」

「セラさんも、とても合わせやすかったです!」


パチンッ!

二人はハイタッチをする。


二人の連携は、ゴブリンを圧倒した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る