第七十四話 氷火と戦風、新たな影

次はスノウとリササイド。


こちらには、オークが六体ほど集まっている。

全個体が、スノウ達の二倍くらいのサイズがある、


「さあて、リサとの共闘は久しぶりな気がするな!」

「そうかもね!背中は守ってよね!!」

「誰に言ってるんだよ!」


シュンッ!シュンッ!

二人はオークに突撃する。


「人の子が来るぞ、殺せ!」


ドダッ、ドダッ、ドダッ。

地面を凹ませながら、オークも走ってくる。


(さあて、この動きやすさならこの重い剣も振り回しやすい!!)


ピキーンッ!

リサの記憶が呼び起こされる。


「まずはあたしから! 虎派六式コハロクシキ! 円虎玉砕エンコギョクサイ!」


グルンッ!ザシュッ!

リサの長剣を使った回転斬りは、三体のオークの足を斬る。


「ウギャァ!グガッ!」


ブンッ!

一体のオークが拳を振り下ろす。


(この正装スーツすごい!まだまだいける!)


ピキーンッ!

リサの記憶が呼び起こされる。


虎派四式コハヨンシキ! 虎転一刀コテンイットウ!」


バキーンッ!

長剣を地面に刺し、それを軸にしてオークの攻撃を受け流し、前転して走り抜ける。


「くそ、うざい!」

「俺も忘れるなよ!」


ブワッ!

スノウはオークの頭上に飛ぶ。


狼派六式ロウハロクシキ! 裂羅サクラ!」


ジャギンッ!ジャギンッ!ジャギンッ!

二刀の乱れ斬りが、オークを斬り刻む。


ポトンッ。

一つクリスタルに戻る。


「なめるな!」

「こいよっ!」


ガギーンッ!ガギーンッ!

スノウはオークの拳を捌き、


氷付与アイスエンチャント! 狼派二式ロウハニシキ! 蒼波ソウハ!」


ブンッ!ブンッ!

氷の斬撃が二体のオークの足に直撃。


カチカチカチッ!

オークの足は凍りつく。


「う、動けん。」

「チャンス!! 火蛇レッドスネーク! ご飯よ! 虎派九式コハキュウシキ! 蛇虎炎帝ジャッコエンテイ!」


ボゴォ!ヒシャァ!

火でできた蛇が、動けないオークを燃やす。


ポトンッ。

さらに二体クリスタルとなる。


「くそ、よくも!」


ドダッ、ドダッ、ドダッ。

三体のオークがまとまって襲ってくる。


「リサっ!」

「任せて!」


二人の感覚共有シンクロが発動する。


「飛んで! 火鳥レッドバード! 虎派五式コハゴシキ! 赤飛剣レッドサーベル!」


ボォッ!ブンッ!

火を纏った長剣が、鳥の如く飛んでいき三体のオークを刺す。


「フガァ!」

「見えた! 氷付与アイスエンチャント! 狼派十式ロウハジュッシキ! 氷山一角ヒョウザンノイッカク!」


グルンッグルンッグルンッ!ザシュンッ!

ドリルのように回転しながら、オーク三体を貫く。


ポトンッ。

全てのオークがクリスタルに戻る。


「あはっ、やっぱりあたし達!」

「完璧だな!」


パチンッ!

こちらでもハイタッチが起きる。




最後にヒメノとセドリックサイド。


こちらにはゴブリンが10体ほど。


「僕が前を行く、後方は任せるよ!」

「了解です!」


ダッダッダッ!

セドリックが先行する。


「殺せっ!」

「悪いけど、死ねないよ! 戦騎術センキジュツ! シチ! 抜刀流斬バットウナガレキリ!」


チャキッ!ジャキンッ!

二体のゴブリンが、抜刀されると共に目にも止まらぬ速さで斬られる。


「捕まえた!」


ブンッ!

ゴブリンが棍棒を振り下ろす。


「来たれ!ヒカリよ! 戦騎術センキジュツ! ロク! 反射光リフレクター!」


バキーンッ!

光の盾で、棍棒を弾く。


「セドリックさん!伏せて! 風槍ウインドランス展開! 鷹派四式オウハヨンシキ! 風貫弾ドリルショット!」


ブオンッ!ズシャッ、ズシャッ。

風がドリルのように巻き起こり、二体のゴブリンを貫く。


ポトンッ。

クリスタルに戻った。


ドサッ。

ヒメノとセドリックは背中合わせになる。

周りには複数のゴブリン。


「ヒメノくん、いけるかい?」

「もちろんです!正装スーツもありますし!」


シュンッ!

二人は一斉に走り出し、


戦騎術センキジュツ! ! 乱斬ランギリ!」


ジャギンッ!ジャギンッ!

流れるように複数のゴブリンを斬り裂く。


(私にも、範囲技がある!)


ピキーンッ!

ヒメノの記憶が呼び起こされる。


鷹派九式オウハキュウシキ! 烈風多連脚レップウタレンキャク!」


ドガッ、ドガッ、ドガッ、ドガッ!

正装スーツによって得られたしなやかさにより、踊るかのように足の一撃を顔面に打ち込んでいく。


「ウギャァ!」

周りのゴブリンは膝をつく。


ピキーン!

ヒメノとセドリックに一つのイメージが湧く。


ザザッ!

ヒメノは空を飛び、


風槍ウインドランス展開! 鷹派八式オウハハチシキ! 竜巻タツマキ!」


ヒューンッ!!ゴゴゴゴゴッ。

竜巻がゴブリンを一箇所にまとめる。


「集まれ!ヒカリよ! 上位魔法ジョウイマホウ! 光斧レイトマホーク!」


ポワァ。ブンッ!ブンッ!

光で作られた斧が二本投射される。


「ウギャァ!」

竜巻の中で斧が無造作に飛び回り、全てのゴブリンを倒す。



「ふう、さすがだねヒメノくん。」

「セドリックさんも、すごい魔法でしたーー。」


ヒメノの地獄耳に何かが感知される。


「何かきます!」

「まだいるのか!」



パチパチパチッ。

拍手しながら、歩いてくる者が一人。



「あ、あなたは!」

「デュポン前隊長。」

「やあ、リーンベル隊長。」

なんと、死んだと思われていたデュポンがそこにはいた。


「前隊長さん、こんなことしてなんの意味が!」

「なんだよ、それじゃまるで僕がこいつらを呼び出したかのようじゃないか。」

「それじゃあ、その両手に持ってるクリスタルはなんですか。」

デュポンの手には、二つの灰色のクリスタルが。



「なるほど、クリスタルについて君らも知ってるんだね。なら、話は早い!」

「やめろっ!」


ポトンッ。ポトンッ。

ピカーンッ!


クリスタルが光だし、中から大きな化け物が出てくる。


「なんだ、こいつは。」

「完成したばかりの、新作だよ!その名も、!」


ドゴーンッ!

二体のオークデーモンがセドリックとヒメノの前に立ちはだかる。


灰色の体に金色の王冠を被り、両手には大きな斧が。

体には硬そうな防具に、大きな目がぎょろぎょろと動き今までの化け物の中で、一番大きい。



ホープは、この化け物とどう戦うのか。

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