第七十五話 新種と戦士の衝突

ドスンッ!ドスンッ!

二体のオークデーモンが、地震のような揺れを起こしながら迫ってくる。


「さあ、オークデーモンよ。邪魔者を殺せ!」

「ウゴォ!」


ドスンッ!ドスンッ!

斧を構えながら突撃してくる。


「ちっ! 左は僕が! 戦騎術センキジュツ! ! 剛衝斬ゴウショウザン!」


ガギーンッ!

斧と直剣が火花を散らす。


「見た目通りの、パワー型みたいだね!」

「フゴォ!」


ブンッ!

もう一本の斧が迫る。


「くっ! 中位魔法チュウイマホウ! 照明弾フラッシュ!」

「ウゴァ!」


ピカーンッ!

セドリックの掌から眩しい光が発せられ、目眩しをする。


(今なら、足が空いてる。)


セドリックは体勢を低くして、

戦騎術センキジュツ! イチ! 一閃イッセン!」


ピキーンッ!

直剣は身を守る防具に阻まれる。


「硬いね、流石に分が悪いか。」

「ウゴァ!」

セドリックに斧が迫る。




対して、ヒメノもオークデーモンと戦う。


「ウガガァ!」

鷹派二式オウハニシキ! 鷹弾イーグルシュート!」


バキーンッ!

振り下ろされる斧と、スピードに乗った足蹴りがぶつかり合う。


「死ね!」

「遅いです!」


ブンッ!ブンッ!

数度の斧攻撃を躱し、


風槍ウインドランス! 展開! 鷹派五式オウハゴシキ! 翼撃ヨクゲキ!」


シュンッ!シュンッ!

二発の風の斬撃がオークデーモンの腕をかすめる。


「もっと重い一撃じゃないと、消耗戦になる。」

「ウガァ!」

「ふっ!」


ブンッ!ブンッ!

振り回される斧を距離をとって避ける。



ヒメノもセドリックも苦戦を強いられる。



「さあさあ、早くしないと二人とも死んじゃうよ!!」

デュポンはニヤつき、二人を見下す。


「くっ、デュポン前隊長。なんであなたが!」

「簡単さ、僕に恥をかかせた罪を償わせるのみさ!」

「あなたは!」



シュンッ!

「おわっ!」


デュポンの前を何かが通り過ぎ、尻餅をつく。


「よお、死神野郎。いや、亡霊か?また会えるなんてな。」

「アクセプト!」

スノウがデュポンの目の前に姿を現す。


「復讐のつもりか、クズ野郎。」

「ふふふ、そうさ!君らに対するね!」

「兄さん!気をつけて!」


ドスンッ!ドスンッ!

ヒメノと戦ってたオークデーモンがスノウに近づく。


「さあ、君らの墓場が出来上がるぞ!」

「それはどうかな!」


スタタタタッ!

スノウは迎え撃つ。


「ウゴォ!」

ブンッ!

二つの斧を同時に振り下ろす。


氷付与アイスエンチャント! 狼派八式ロウハハチシキ! 氷華ヒョウカ!」


カチカチカチッ!

斧を受け止めた刀の先から、斧ごと凍らせていく。


「ウゴッ!?」

「俺は、一人じゃねえんだよ!リサっ!」

「任せて!」


ザザッ!

太陽の光に被さるようにリサが飛び上がる。


虎派八式コハハチシキ! 虎牙剛斬コガゴウザン!」


ジャギーンッ!

オークデーモンの右肩を傷つける。


「ウギャァ!」

ブワッ!

反射的に振るった拳が、リサに迫る。


「うそっーー。」

鷹派一式オウハイッシキ! 三日月ミカヅキ!」


バキーンッ!

ヒメノのサマーソルトで腕が弾かれる。


ザザァー

ヒメノ、リサ、スノウが合流する。


「さあて、俺たちの連携ってやつを、見せてやるか!」

「いいよ!あたし達に勝てない敵はいない!」

「もちろんです!」


ズザッ!

三人はオークデーモンを囲むように走り出す。


「ウゴォ!」

オークデーモンは斧を振り回す。


「大振りな分、避けやすくて助かるぜ!」


ズザーッ!

スノウがスライディングで斧を潜り避け、


氷付与アイスエンチャント! 狼派九式ロウハキュウシキ! 狼燭ロウソク!」


ズサッ!

刀を地面に刺し、そこから生まれた氷の角が斧を持つ手を突き刺す。


「こっちは任せて! 虎派二式コハニシキ! 白虎ビャッコ!」


ジャスンッ!

長剣の斬り上げが、もう一本の斧を弾き飛ばす。


「ウゴォ、フガッ!」

両腕を使えなくなった、オークデーモンの目の前に鷹のように飛ぶヒメノが映る。


(何だろう、あたしの左足に熱さを感じる。……もしかして!?)


ブワッ!

ヒメノの左足に火が纏わる。

火槍ファイアランス! 展開! 鷹派十式オウハジュウシキ! 紅月コウゲツ!」


ブオッッ!ザシュッ!

「ギギャァ!」


火を纏ったかかと落としが、オークデーモンの脳天に直撃しその傷跡から全身を焼く。


ポトンッ。

灰色のクリスタルに戻る。


「さすが!ヒメチンすごい!いつの間に二つも魔法使えたの!?」

「わ、分かりません。ただ、記憶が戻った時に思い出して。」

「にしてもすごーい!」

リサがヒメノを褒めちぎる。


「こっちは倒した、あっちは!?」



ザシュンッ!

ドガンッ!


もう一体のオークデーモンは、足をユキナに刺され、腕をセドリックに封じられている。


そして、


「はぁ!! 雷充填ライトニングチャージ! 希狼派十式キロウハジュウシキ! 雷刃剣ライジンケン!」


バチバチバチッ! ジャキンッ!

雷を纏った刀が、オークデーモンを一刀両断する。


ポトンッ。

もう一体も灰色のクリスタルに戻る。



「ぐぐっ、これがホープの力か。」


ザザッ。

デュポンは後退りをする。


「さあ、デュポン。その首を差し出しにきたんだろ、いつでも良いぜ。」


カチャッ。

スノウの刀がデュポンの首を斬りたそうに表を上げる。


「ふふ、ふふふ、ふははははっ!舐めるなよ、ガキどもが!僕は、誰にも止められない、になるんだ!」


カチャッ!

デュポンは黒い指輪を右手の中指につける。


「僕に力を!メギンギョルズ!!」

ドゴォォン!!


デュポンの周りに暗い雲が立ち込め、みるみるうちに大きくなっていく。


「あの力、城でオーディンが使ってた!」

「デュポン前隊長!待つんだ!」



ドゴンッ!ドゴンッ!

「もう遅いよ、リーンベル。」


デュポンであった者は、3mほどの大きさになり全身は筋肉もりもりマッチョマン。全体的に紫色に変わり、人ではない何かに生まれ変わった。



「さあ、僕に跪け!」


シュンッ!

高速でデュポンがセドリックに迫る。


バキーンッ!

セドリックの剣とデュポンの拳がぶつかり合う。


「くつ、デュポン!」

「はははっ!無様に死ね!」



デュポンとの戦いが始まった。

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