第百六十六話 記憶の真実

「記憶を消した理由?そんなこと、なんであんたが知ってるの?」

「簡単だ、俺の力はオーディン様のものを分けて頂いてるものだ。だから、俺の記憶にお前達の記憶を消した理由がコピーされた。」

「そんなことを教えたとしても、あんたになんの得もないんじゃない?」

「いいや、戦えなくなった俺ができるのはお前達を勧誘すること。まあ、信じるか信じないかはお前達次第だけどな。」


シューンッ。

共鳴突破クロスドライブ 停止オフ。」

完全上限解放フルバースト 停止オフ。」


五人は力を収め、エンペラーの元による。


「なら聞かせてもらおうか、エンペラー、トップの記憶を消した理由を。」

「ふんっ、事が起きたのは前国王アトリが亡くなった日からだ。」



ここからは、エンペラーがホープに向けて話した内容になる。



まず、オーディンはこの世界を自分の手中に収めて、アトリのように世界を管理しようとしていた。


それは、アトリに尊敬の念を抱いており彼のようになりたいと思っていたオーディンがとった行動であった。





オーディンの作戦としてはこうだ。



まずは、オーディンの管理下に置くために各地に力のあるものを配置すること。


しかし、今の大人ではアトリに対する信仰心が強すぎて、オーディンが自由に扱うことは難しい。



ならば、来るべき戦争のために対策をするという口実で、FCを発令し、忠実な兵士としてを作り出そうとしていた。





アトリが亡くなった後、まもなくFC計画は発令され各地から子供達が集められ地獄の訓練が始まっていった。



そして、各セクターには自分の仲間として活動していた戦神を配置し、セクターの師匠として信頼に足るアトリの側近を配置したのである。



10年かけて修行を完了させたオーディンは、ここで作戦の要である敵を出現させた。





そう、である。


そして、ゴブリン達の王として君臨させたデーモン。



デーモンには、オーディンは日々の訓練として数名の戦士を向かわせるので、その相手をしてほしいと話していた。


デーモンは承諾し、城にて待機していた。



そして、ヘルクリスマス当日。



人間は生きるための戦いとして、

ゴブリン側は人間との訓練として、


正面からぶつかり合ったのだ。



その中で一際目立っていたのが、



戦神の力を最大限に活かすことができ、精錬された動き、熟練の戦士ともみて取れる連携を扱うことができた。



ただし、当時の人間達は生きるために必死に戦っていた。


ので、襲ってくるゴブリンやオークを片っ端から倒していった。


それに混乱したゴブリン達も、生きるために人間を殺していった。



最後に、ヘルクリスマスを終息させた上で、オーディンの特殊能力の一つである、記憶消去を使うことで自分の駒としてトップ達を使おうとした。




しかし、それを邪魔するものが現れた。



そう、



狼流派の師匠であり、アトリに一番近かった存在。


彼は、オーディンのやり方に疑問を感じていた。



そして、彼の判断で記憶が完全に消去される前にホープの四人を起こした。

さらに、セラを町の外にまで運び出した。



そこからはこれまでの旅で経験してきた通り、オーディンのいるヴァルハラからクレイトスがスノウ達も逃し、記憶のかけらを取り戻す旅に出させた。



オーディンは、ホープが力を完全に取り戻され自分たちの敵になられることを危惧していたため、五神を派遣していた。



刺客をなんとか跳ね除け、ここまで辿り着いたのが今の人間の希望であるホープである。




「これが、オーディン様が記憶を消した理由だ。あのお方は、ただアトリ様のようにギムレーをより良い世界にしたいだけだったんだ。」

「そんな……。」


五人は衝撃の事実を受け、その場に立ち尽くしていた。



そう、オーディンは自分たちの敵。


しかし、彼がやっていることを真っ向から否定できるほど愚かではなかった。




その静寂を、セラが破る。



「けど、やっぱりセラは許せないよ!なんで、なんで一人で世界を作ろうとしたの!」

「それは、オーディン様は誰かを信じるのが怖いのだ。あのお方の過去に、何かがあったーー。」

「それじゃあ、なんであんた達が寄り添ってあげなかったの!苦しんでたんなら、それが分かってたなら、手を差し伸べてあげるのが仲間じゃないの!!」


ビクッ。

エンペラーはセラの顔を見つめる。



「……ふふっ、そうだな、お前の言う通りだ。あのお方は、自分を信じすぎている、そのせいで周りからの信頼を失ってしまった。オーディン様は、間違えてしまった。」

「でも、一度や二度の間違いは人間も犯してしまう。僕たちと、この世界を良いものにしたいという気持ちは同じだ。オーディンとは、ちゃんと話さなきゃいけないみたいだね。」

「オーディン様と、話してくれるのか?」

「私たちは、殺し合いをしたいわけじゃない。だから、お互いを知った上でその先のことは判断します。」


ヒメノは力強く話す。


「ふぅ、俺も、お前達のように寄り添おうとする努力が必要だったのかもな。俺も、間違えたわけだ。」

「あんたも、苦労してたんだね。」

「いいや、君らに比べれば俺のはそうでもないさ。」

「苦労してきたことなんて、誰かと比べるものじゃないよ。あんたは頑張った、だから、ゆっくり休んで。」


シュイーンッ。

エンペラーの体から小さな粒子が浮き出る。



「そうだな、俺は先に空で待ってるとしよう。この世界の行き先、よく見させてもらうぜ。」



シュンッ。

エンペラーは光の粒子となり、その場から消える。




五人は武器をしまい、先へ続く扉を向く。


「行きましょう、みなさん。私たちの目で、真実を確かめないと。」

「そうだね、ユキちゃん。いこう。」


真実を知り、新たな選択肢が生まれたホープ。


彼らはどのような選択をするのか。


第二十七章 完


◆◆◆お礼・お願い◆◆◆


第二十七章まで読んで頂きありがとうございました。


ホープとオーガ(エンペラー)の戦いが終わりました。

そして、オーディンの考えを聞いたホープ。

彼らはどんな選択をするのか。


スノウ達の今後を気になってくれる方!

次の戦いは!? さらにピンチは続く!?

ホープの六人を応援してるぞ!


と思ってくださいましたら、

ぜひ、レビューや★評価とフォローをお願いします!


ここまで読んで頂きありがとうございます!今後とも宜しくお願いいたします!

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