第二十八章 英雄は仲間と出会う

第百六十七話 合流

セラ達はエンペラーを倒し、扉の魔法を解除しようとしていた。


「アヤちゃん、この魔法の仕組みわかりますか?」

「うーん、なんとなくね。この魔法は、オーディンのいるヴァルハラを覆っている魔法と似てるから少し時間かかるけど解除できると思うよ!」

「良かった、ありがとうアヤちゃん!」


ホワイト隊は扉の魔法の解除に取り組む。


「そしたら、ここはアヤセさん達にお任せして、私たちは先に進みますか?」

「そうだね、お兄とも合流したいし。」

「スノウさんは、先ほどの部屋からまっすぐ出口に向かうと思うので、今から向かえばちょうどいいかもしれないです。」

「分かりました、アヤちゃん、また後でね。」

「うん!」


スタタタタッ。

五人は先に進む。



「ねえ、みんな。さっきのエンペラーの話信じる?あたしは、どうも全てが真実だとは思えなくて。」

「リサくんの言うとおり、敵の言うことだからね。僕たちを惑わす作戦かもしれない、けど、もしかしたら新しい可能性も作り出すことができるかもしれない。頭の片隅に入れておこうか。」

「そうですね、兄さん、無事でいてくださいね。」


タタタタタッ。

五人の前に大きな扉が現れる。


「ここが出口みたいですね、いいですか、みなさん。」

「うん、開けよう。」


キィーッ。

扉を開けると、広い庭が目に広がる。


緑色の草木や、華やかな花も咲いておりとても整備されてるのが見て取れる。


「ここは、ヴィーンゴルヴのお庭ですかね。」

「そうだね、僕たちが来るまではみんなの憩いの場所だったのだろうね。」

「……早く終わらせましょう。」


ガサガサッ!

何かが近くを動く。


「なに!?」


全員が武器を構える。


「ああ待て待て!俺だ!スノウだ!」


スタッ、スタッ、スタッ。

スノウが草むらから出てくる。


「え?兄さん!?なんでそこに?」

「先に着いたのはいいけど、他の足跡がなかったからまだ中にいるんだと思って待ってたんだよ。」

「でも、本当に本物?」


セラがスノウを疑う。


「はっ!?いきなり何言うんだよ。」

「いや、もしオーディンが作り出したお兄だったら危険だなって思って。」

「うーん、まあそう思われても仕方がないか。じゃあ、本物と証明したいから何か質問とかしてくれよ。」


カランッ、カランッ。

スノウは刀を地面に置き、堂々と立ち尽くす。


「うーん、じゃあお兄が思ってるセラ達の特徴言ってみて!」

「え?そんなことでいいのか?」


スッ。

スノウは上を向き、考え始める。



「それじゃあいくぞ。」


まずはヒメノを見る。


「ヒメノは、とても料理が美味くて世話も焼けて男に人気でそうだなって思ってる。後は、少しおっちょこちょいで涙脆いから、そこが心配だな。」

「カチンッ。」


次にリサを向く。


「リサは、とても頼りになって背中を任せられるし、ムードメーカーでいつも助けられてる。けど、怪力すぎるのが少し怖いから、もう少し女子っぽくしてもいいんじゃないかとは思うな。」

「むかっ。」


次はユキナ。


「ユキナはみんなの妹感があって、冷静に判断してくれたりとかいじられキャラなところがいいな。あと意外とツンツンしてるのと、むっつりなところも面白いと思ってる。」

「むっ。」


続けてセドリック。

「セドリックは堅物ではあるけど、全体を見る視野がとても高いと思ってる。俺がリーダーなら、副リーダーだとも思ってるし、唯一の男メンバーでとても嬉しいぜ。」

「あははっ、ありがとう。」


最後にセラ。

「セラは、俺の実の妹ってこともあってか俺と似てるところが多くて少しうるさいと感じることもあるな。けど、みんなを気にかけてくれてて、時々突っ走るからそこは気をつけてほしいって感じかな。」

「ふーんっ。」



スノウは全員に一言ずつ言い終える。


「ねえ、みんな。決まった?」

「はい、目の前の兄さんは、本物で間違いないかと思います。」

「そうだね、あたしもヒメチンに賛成。」

「先輩は、先輩ですね。」


スタッ、スタッ、スタッ。

ヒメノがスノウの隣へ。


「よかった、証明ができて。」

「はい、本物で良かったです!」


ゴスッ。

軽い蹴りがお腹に入る。


「ぐはっ、なにを。」

「ふんっ、知りません。」


ヒメノは通り過ぎると次はリサが。


「ああ、リサ。」


スパーンッ。

チョップがスノウの脳天へ。


「痛っ!」

「馬鹿力で悪かったね!」


続けてユキナが。


「先輩、本物で良かったです。」

「あ、ありがーー。」


ゴスッ。

スノウの右足が踏まれる。


「うがっ。」

「思っても言っていいことと悪いことがありますからね!」


さらにセラが寄ってくる。


「セ、セラーー。」


ガゴンッ。

強いデコピンが直撃。


「うはっ、お前もか。」

「女の子の扱い方もっと知っておくべきだったね!」


女子四人は先に進む。


「なんでだ、俺何か間違えたのか。」

「スノウは間違えてはいないよ、まあ、大変だね。」

「俺に優しいのはセドリックだけか、泣けるぜ。」


二人もヒメノ達を追う。



彼らの仲の良さが見られた瞬間だった。

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