第百五十五話 ホープの意志、入館

「そうだな、大切なものってのはこれまで俺たちを助けてくれた人たちだな。」

「その人達のために、皆さんは命の危険を犯してまで戦いにいくのですか?」

「アヤセちゃんの言うとおり、それだけでオーディンを倒しに行くって言うのなら、理由が薄く感じるよね。そこには、もう一つ理由があるんだ。」


セラが真っ直ぐな目でアヤセに語りかける。


「もう一つの理由ですか?」

「そう、だよ。」

「贖……罪……。」


アヤセの顔が少し暗くなる。


「そうだ、俺たちは助けられた分それに報いたいと思って戦ってきた。……けど、そこには助けられない命もたくさんあった。」


スノウの脳裏には、目の前で最後の力を振り絞って自分を制御し倒されることを望んだアウルの姿が。


また、ロキとの戦闘でナイフを自分に刺し死んでしまった男性の姿も。


ホープの皆の中に、助けられなかったことへの罪の意識は少なからず根付いていた。


ヒメノには、ノーアトューンで笑顔で出迎えてくれた兵士たち三人がフレイヤによって殺されていた姿が。


リサには、ビフレストでトールによって消された兵士四人の姿が。


ユキナには、ビフレストで傷つけられた町長ソーン、バッリでオーディンによって操られ無理やり戦わされていたトロルの姿が。


セドリックには、ブレイザブリクでデュポンによって殺された仲間の兵士、そして前隊長のデュポンとその弟の姿が。


セラには、トップになることをやめさせた挙句、敵同士で戦うことになってしまったミユウの姿が。



六人は浮かぶ内容は違えど、同じ罪の意識を持っていた。



「ですが、皆さんが持っている罪の意識はオーディンが作り出したもの。あなた方だけが、その罪を背負って自分の命を使って戦う必要はないのでは?」

「俺たちは、世界を救えるだとか、変えられるだとかそんな大層なことは考えてない。ただ、。」

「……皆さんは、優しいんですね。いえ、優しすぎるんです。」


ハァー。

アヤセは少しため息をつく。


「優しい……か。言葉ってのはすごいな、状況を全く変える意味にしてくれる。アヤセには俺たちが優しく見えてるのに、当の本人達は弱虫って思ってるだけなんだから。」

「でも、それは悪いことではーー。」

「ああ、悪いことだとは思ってない。むしろ、俺たちは誇ってるさ。弱者であるからこそ、俺たちは協力して成し遂げようとできてる、これはオーディンとは全く違うものだ。」


ギリッ。

スノウの拳に力が籠る。


「オーディンは、他人の命を弄んでる。。それを俺たちは、あいつに思い知らせてやる。生きたくても生きられない人がいる世界で、どんな愚行をしてるのかってな。」

「……皆さんの意思、確かに受け取りました。わたしたちホワイト隊も、必ず皆さんのお力になります。何があっても、オーディンのいるところにまで皆さんを送り届けますーー。」

「アヤちゃん、それだけはしないで。」


ズザッ。

話を遮り、ユキナが前に出る。


「え?」

「アヤちゃん達が自分を犠牲にして私達を守ってくれても、ホワイト隊がいなくなったらみんなが、私たちが悲しみます。ホープもホワイト隊も、犠牲の上に何かを成し遂げられても何も意味がないんです。」

「そんな欲ばかりだしていては、やるべきこともできないよ!」

「そんなことはないよ!私たちは、これまで多くの時間を戦いに注ぎ込んできた。だったら、?」


ニコッ。

ホープの六人は目の前に戦場があるのにも関わらず、とても笑顔である。


「……なるほど、ホープの皆さんを信じる人たちの気持ちがとても理解できた気がします。ホワイト隊も、あなた達の力になります、戦いが終わったら、皆さんのこともっと教えてくださいね!」

「ああ、これが終わればいくらでも時間はあるんだ、目の前のオーディンをぶっ倒す!それが、最短のルートだ!」

「おーっ!!」


スタッ、スタッ、スタッ。

ホープとホワイト隊はさらに固い意志を持ち、ヴィーンゴルヴへと向かった。



「あれです、見えますか?」

「あのでかい扉か?いかにもって感じだな。」

「どうやって入る?あたしが壊そうか?」

「いくらリサさんでも、あの頑丈そうな扉は厳しいのでは……。」


スタッ、スタッ、スタッ。

ユキナの心配をよそめに、リサは扉の前に立つ。


「すーっ、はぁー。さあて、神討ゴッドリベンジャーの力試しもしてみようかな。 虎派八式コハハチシキ! 虎牙剛斬コガゴウザン!」


ズンッ!ガギーンッ!

飛び上がった縦に大振りの一撃は、扉に一本の線を入れた。



そして、



ゴロゴロゴロッ!

扉は真っ二つに斬られ、崩れ落ちる。


「う、うそ!?リっちゃんそんなに力あったっけ!?」

「元から強いけど、武器のおかげでさらに上乗せされたんだろうな。馬鹿力全開ってところか。」

「スノウ〜しっかり聞こえてるよ〜。あんたでも試してあげようか?」

「さあて、入口ができたんだ!早く行くぞ!」


タッ、タッ、タッ。

スノウを先頭にヴィーンゴルヴへ入る。


「あははっ、仲のいい人達ですね。あの笑顔が、皆さんを支える源なんでしょうか。参考にしなくちゃ!」


ホワイト隊もヴィーンゴルヴへ入場する。



さあ、ここからは戦いの連続。


ホープとホワイト隊の運命は……。


第二十五章 完


◆◆◆お礼・お願い◆◆◆


第二十五章まで読んで頂きありがとうございました。


スノウ達は新たな仲間と共にヴィーンゴルヴへと入場しました。

そして、ここからは戦いの連続、彼らの運命は……。


スノウ達の今後を気になってくれる方!

まずは誰が出てくる!? 厨二病は加速するよ!!

ホープの六人を応援してるぞ!


と思ってくださいましたら、

ぜひ、レビューや★評価とフォローをお願いします!


ここまで読んで頂きありがとうございます!今後とも宜しくお願いいたします!

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