第百九十九話 白狼と射神
「わしに勝てるか!白狼!
「当たり前だ、負けるつもりは毛頭ねえよ!
バンッ!バンッ!バンッ!
シュンッ!
ボウガンから射出される闇の矢がスノウを襲う。
だが、スピードに特化したスノウには一発も当たらない。
ガギーンッ!
そのままロキのボウガンと鍔迫り合う。
「流石の速さだな、白狼。やはり敵にいられると厄介極まりない!」
「それは俺に対する褒め言葉か?嬉しいことだな!」
ガゴンッ!
ロキが蹴り飛ばされる。
「くっ、そのような戦いは狼派にはないはず、師の教えを破るのか!」
「違えよ、お前の考えが間違えだ。師匠から弟子に受け継いだ技が何も変わらずに後世まで受け継がれると思うか?その時代に合ったものに順応しないと、未来じゃ役に立たねえのさ!」
「なるほど、先を見据えているようだがそれは無駄に終わるぞ!オーディン様が、全てを統治されるからな!
ヒュワーンッ。ヒュワーンッ。
スノウの足元に闇の手が生え、足を掴もうとする。
「気味が悪いな、
バリリッ!
刀を地面に刺し氷の柱を生み出す。
シュッ!シュッ!
拘束してくる魔法を避けつつ、氷の柱を複数生み出し足場として作り出す。
「戦闘においてはやはり貴様が一番危険だな、必ずここで消し去る!」
「俺はお前に怒りを覚えてるんだぜ、セクヴァベックで何人も傷つけ、何の罪もない人の命を奪った!」
「罪のない人間?何を寝ぼけたことを、この世界の人間は皆、罪を背負っているのさ!」
「どういう意味だ!
グルンッ!
バギーンッ!
回転斬りがロキを吹き飛ばす。
「ふんっ、そんなことも知らないとは愚かだな!この世界は、人間が衰退させていった!だからこそ、モンスターによってさらに破壊されていった!」
「それを止めようとしてるのがミーミルだ!お前たち神とは違う、全ての人間で同じ未来を掴もうと努力している。」
「努力だけではどうにもならんのさ!理解しようとしない人間も複数いる、わしらはその間引きをしていたのさ!」
「相手の意見を聞かずに、自分の意見だけを推し進める方法が正しいとでも?それはもう王と人間の姿じゃねえ、主人と奴隷の姿だ!」
シュンッ!
ガギーンッ!
ロキに目にも留まらぬ速さで迫る。
「それが正しい姿であろう!未来を作ろうとする者を阻害して、世界を終わらせようとする人間なぞ、生きる価値はない!」
「てめえらがそんなことを勝手に決めんな!人間だからこそできることだってあるんだよ!」
「それは何だ!世界を破滅に導く以外に何がある!」
「みんなが手を取り合って、未来を切り開くことだ!」
ガゴーンッ!
二人は距離を取る。
「綺麗事だな、それで全て乗り越えられるほどこの世界は甘くない!」
「てめえらみたいに、片っ端から破壊してくよりはいいと思うが?」
「ならば問おう。お前は、外界から知らぬ存在に攻め込まれたらどうする?勇敢に立ち向かえるか!」
「まさしく今の状況だな。人間の世界にお前たち神が外から攻め込んできた!」
バギーンッ!バギーンッ!
ダンッ!ダンッ!ダンッ!
二人の戦いは激しさを増す。
「そう、その通り!お前たちは、我らがいなければ力すら使えない存在!ならば、力がある我らに滅ぼされるべきだ!」
「ふざけんなよ、人間も黙って見てるつもりはねえよ!お前たちが過去にどんなものを背負ってるかは知らねえが、人間はよそ者に好き勝手やらせるような存在じゃねえ!」
「それはどうかな、わしらと同じ苦しみを味わった後でも、そんなことが言えるか!」
ピキーンッ!
ロキが
「何だ?奥の手でも使うってか?」
「その通りさ、この世界は我ら神がもらう!人間ではどうにもならないということを、その身でしれ!」
(スノウ、俺と代わってくれないか?)
(テュールとか?珍しい頼みだな、構わないけどなんかあったか?)
(少し、あいつと話がしてえんだ。頼む。)
(事情があるみたいだな、いいぜ。後で、お前たちのことも教えろよ!)
シュイーンッ!
スノウの体にも青い力がみなぎる。
「さあ、絶望しろ!人間!」
「やれるもんならやってみろ!
バゴーンッ!
スノウは
ロキも力を解放し、紫色の大きな体に強靭な尻尾と爪が生える。
「さあ、ここで死んでくれよ、白狼。」
「死んでやるかよ、来やがれ、ロキ!」
「この感覚、フェンリル・テュールか。裏切り者が、なおのこと殺し甲斐がある!」
「舐めんじゃねえぞ、クソ野郎が!」
二人の更なる戦いが始まる。
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