第九十話 新たな技、新たな敵
バゴーンッ!バゴーンッ!
「グァァ!」
二体のトロルが辺りの木々を倒しまくる。
「くそっ、リオネル、フェルナンド、一旦退くぞ。」
「分かりました!」
ダダダダダッ!
トロルからアトレウス隊の三人が距離をとる。
「はぁ、こんなことは、私はしたくないんですが。さあ、殺しなさい。」
遠くから女性の声が聞こえる。
「グァァ!」
ドスドスドス!
地面にひびを入れながら、アトレウス達に迫る。
「くそっ、このトロル普通の個体と違うな。」
ザザッ。
アトレウスが立ち止まりトロルと対峙する。
「た、隊長!なにを!」
「お前達はスノウ達に救援を呼びに行け!俺が、時間を稼ぐ!」
「グァァ!」
ブンッ!
ガギーンッ!
トロルの斧と、アトレウスの剣がぶつかり合う。
「くそっ、重いなんてもんじゃーー。」
「ウガァァ!」
ボスンッ!
アトレウスごと吹き飛ばし、壁に打ち付ける。
「ぐはっ、えほっ、えほっ。なんだ、こいつは。」
「隊長!」
アトレウスの目の前に、斧が迫る。
「くそがっ。」
シュンッ!
何かが風を切る。
「
バギーンッ!
ヒメノのスピードに乗った蹴りが、斧を弾く。
「んなっ、ホープか。」
「はい!助けに来ました!」
風を纏ったヒメノの姿を見たトロルの目が血走る。
「こいつ、ターゲット。殺す。」
ブンッ!
斧を勢いよく振り下ろす。
「このトロル、もしかして。
シュンッ!バフンッ!
斧を避け、火を纏ったかかと落としを頭に直撃させる。
「ウゴァ!」
シュンッ!シュンッ!
ふらついたところを、横から斬撃が飛んでくる。
「開け!
「来たれ!
ドゴンッ!ドゴンッ!
ズザーッ。
トロルは吹き飛ばされ、ダメージを負う。
「アトレウスさん、歩けますか!?」
「ああ、大丈夫だ、ユキナ。手をかけさせてすまない。」
「そんなこと言わないでください!ここは私たちが!」
ドスンッ!ドスンッ!
トロルは立ち上がり、こちらを睨む。
「硬いな、あのトロル。もしかしたら……。」
「はい、バッリで出会った個体と同じかと。」
「そんな、てことはここに女の人も。」
ヒメノ、ユキナ、セドリックが戦闘態勢を取る。
(ああ、たくましくなったな。これなら、本当にこの世界を。)
アトレウスはゆっくりとビフレストの方へ向かう。
「ん?あれは!?」
ユキナの視線の先には、もう一体のトロルがビフレストに向け走る。
「いや、大丈夫だ。」
ダダダダダッ!
バギーンッ!
「
リサの重い縦斬りが、トロルの動きを止める。
「あっちは、リサくん達に任せよう。僕たちは、まずはこのトロルを。」
ドスッ、ドスッ、ドスッ、ドスッ。
トロルが勢いよく迫る。
「行きますよ、ユキナちゃん!セドリックさん!」
「うん!」
「了解!」
ザザザッ!
「グォッ!」
斧を大きく振りかざす。
「開け!
ザシンッ!
槍を地面に刺して水の壁を生み出し、斧を弾く。
「今です!」
「任せて!
「分かった!
ザクッ、ザクッ、ザクッ。
ヒメノとセドリックの空からの攻撃が襲う。
「ウガァァ!」
「うわぁ!」
大きな咆哮で、ヒメノとセドリックを弾く。
「隙ありです! 纏え!
ザッザッザッザッ!
水を纏った槍の高速突きが、トロルの腹に直撃。
「ウガァ!」
ドデンッ!
トロルは吹き飛ばされ、倒れ込む。
ところ変わり、スノウサイド。
「リっちゃん!いくよ!
「任せて!セラチン!
ジャキンッ!ジャキンッ!
セラの空からの攻撃と、リサの地上からの斬り上げがトロルを襲う。
「硬いね、やっぱり。」
「油断するなよ、セラ。こいつは、今までのどのモンスターよりも強い。」
「グオッ!」
ブンッ!ブンッ!
斧を振り回す。
「ちっ!
パキパキパキッ!
スノウが刀で斧を受け止め、氷漬けにする、
「はぁ!
ジャキンッ!
セラの重い一撃が、トロルに傷をつける。
「グゥ!」
まだトロルは余裕の表情。
「さすがにタフだな。なら、ぶっつけ本番だけど、やってみるか!」
ピキーンッ!
スノウの考えがリサとセラの頭に流れ込む。
「おおっ!なんか楽しそう!」
「お兄にしては、いい考えかもね!」
ダダダダダッ!
三人はトロルを三角形で囲むように位置する。
「ウガッ?」
トロルはどの人間を相手するか戸惑う。
「いくぞ!
「
「
シュンッ!シュンッ!シュンッ!
三人のスピードに乗った攻撃がトロルを襲う。
ザスッ!ザスッ!ザスッ!
同じタイミングで攻撃が重なり、
「
「グギャァ!」
パリンッ。
ポトンッ。
頭に付いていたアンテナが壊れ、牙の素材となる。
「よしっ!上手くいったな。あっちは?」
スノウ達が討伐完了し、ヒメノ達の方を見る。
「あ、あなたは、何をしてるんですか。」
「うん?何って、私の力になってもらうんですよ。この、使い物にならない子をね。」
突如としてヒメノ達の前に現れた女性が、トロルの頭のアンテナに向け、何か力を送っている。
キュイーンッ!
「グゴァ!」
(この感じ、何か、恐い。)
「やめてっ!」
バゴンッ!
ヒメノの叫びが呼応した時には、トロルがバラバラに砕け散った後だった。
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