第37話
小さな勇者パーティーと魔王の戦い。
それは苛烈の一言に尽きる。
数々の魔法がぶつかり合い、激しく近距離でぶつかり合う。
「ぬぅんッ!!!」
マキナとレインとレルのお互いの実力、戦闘スタイルを一切の狂いなく知っていないと出来ないような見事な連携で魔王を攻め立てる。
しかし、そんな連携を前にしても魔王は一切揺るぎない。
己の両手に握られている二つの剣を上手く使い、三人を圧倒していた。
「……っ」
マキナはそんな状況に歯ぎしりしながら、聖剣を振るう。
「……ッ」
マキナの振るう聖剣は魔王の持つ剣に防がれ、その反撃としてレル
「す、すまない」
「そう思うなら……に近づかないで頂戴」
「それは無理よ」
マキナとレルは何かを会話しながら魔王から距離をとる。
「……は?」
その間、レインは数々の魔法を発動して魔王を足止めする。
「……」
魔王はそれに対して数々の魔法を発動してレインの魔法を撃ち落としていく。
「「ヤァッ!!!」」
魔王がレインの魔法を撃ち落としているのに集中しているタイミングでマキナとレルが共に大地を蹴り、魔王へと接敵する。
「ぬぅんッ!!!」
魔王の手に握られている二つの剣が、急に巨大化……大きさはそのまま破壊力として絶大な力を振るう。
「キャッ!?」
「クッ……!」
軽々しく振るわれる魔王の一撃に二人は容易く吹き飛ばされ……。
「えッ!?」
吹き飛ばされた二人はすごい勢いでレインへとぶつかり、三人仲良く地面を転がる。
三人が地面へと倒れている中、魔王は一人、雄大な力でもって、ただ一人。
そこに一人の、多くの魔族を統べる王として立つ。
「素晴らしい……才能だ。まだ若いと言うのに。これが勇者とその仲間か。しかし……今、ここにいるのはその対となる魔王なのだ。そして、余は汝らよりも長きときを生きている。違いはそれだけだ」
圧倒的な力でもって三人と戦い、圧倒している魔王。
その実力は桁外れ。
「……終わりだな」
僕はボソリと呟く。
「……なんだ?」
しかし、もう終わる。
魔王の敗北という形で。
「ごめん。遅くなっちゃった」
この場にもう一人の少女が。
絶対的な強者たる我が妹がこの場に舞い降りる。
「……」
「……ふっ」
僕と梨々花の視線が交わり……梨々花はすぐに僕を視界の外へと追いやり、魔王のほうへと視線を向ける。
「くくく……」
ようやくだ。
ようやくすべての準備が終わった。
「くくく……」
さっさと終わらそうか。
このつまらない茶番劇を。数えるもバカらしくなるくらい前からやっている茶番劇を。
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