第12話
「はぁー」
僕は初めて見る人種を前に僕は深々とため息をつく。
「もう……良いや。なんか取り込み中っぽいし、僕のことは気にしなくていいよ」
とりあえず用は済んだ。
実力があることはしっかりと確認出来た……それだけで十分であろう。これ以上は高望みと言うもの。
「しばし、待て」
この場を去ろうとした僕を勇者が止める。
「流石に君を何もなしにこのまま開放するわけにはいかない……」
勇者は全裸のまま立ち上がり、近くに置かれていた聖剣を手に取って僕の方へと向ける。
「君……人ではなかろう……?君から感じる力は底が見えない。最近会って驚いたレイン王女殿下とは比べ物にならないほどの深淵だ。その力は同じ人間どころか、魔族とも思えない。特殊な存在である勇者や魔王……それらに匹敵するような……」
僕は普通の人間、魔族とは比べ物にならない。
そして、神に愛された存在である勇者や魔王に近い存在とも言えるだろう。
正確に言うと、勇者と魔王が僕に近いんだけどね。
人間と魔族を分けたのも僕だし、勇者と魔王を作ったのも僕である。
勇者と魔王には僕の力を本の紙腰分けている。
だからこそ、他とは一線を画す強さを持っているのだ。
「へぇ……思ったよりも観察眼に優れているんだね」
僕は勇者の方へと振り返る。
「当然だ。私は勇者だからね」
……全裸で言われても困るんだけど……。
別にこう思うのは普通の感性だよな?
「うーん。そうだな。僕が何者であるか。その質問に答えるのは少しだけ難しいな。僕は人間でもあるし、魔族である。上位種である悪魔でもあるし……うん。やっぱりちょっとだけ自分が何者かと言う問いに答えるのは難しいかな……でも、立場は言えるよ。イルミ王国の隠し玉。レインの道具だよ」
「なるほど……ッ!あの女の……」
勇者は納得が言ったように頷く。
……なんで納得が言っているんだ?
まぁ、良いか。
「じゃあね」
僕は今度こそこの場を後にした
……うーん。思ったよりも勇者が優秀そうで良かった。魔王も結構優秀だからね。今回。
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