第13話
「ほら……額を出して」
「うん。ごめん……ちょっと失礼するね」
僕の膝の上にレルが横になり、額を僕の方へと見せてくる。
所謂膝枕という奴である。
「ちょっと流すよ」
僕はレルの額へと手を触れ……ゆっくりと魔力を流し込んでいく。
「あぁん」
それに対してレルが小さな喘ぎ声のようなものを上げて、体を震わせる。
魔力を流し込む。
これは……一、二週間に一度ほどしなくちゃいけない大事な作業である。
レル。
彼女の体は体内にあった膨大な力を無理やり引き出したことによって体がその力に対して耐えきれなくなってしまい、体を壊してしまうのだ。
体が溶けて、蛇の化け物のような姿になってしまうという結構エゲツない話である。
そんな体を壊してしまうほどの膨大な力を抱えたまま戦い、人間として生きていくために必要なのがこの僕の魔力注入である。
僕の魔力でレルの体内にある膨大な力を打ち消して、操作出来るようにレル本人が持っている魔力をちょっとだけ強化してあげるのである。
こうすることによって、レルが蛇にならずにちゃんと人間として生きていくことができると言うわけである。
「……あったかいわ」
レルが一言呟き、僕の膝へと自分の顔を擦りつけてくる。
「それなら良かった」
僕はそれに対して言葉を返して、頭を撫でで上げる。
「はぅわ……」
それを受けてレルが表情をとろけさせる。
とろとろのとろである。
「……私ね。結構頑張ったんだよ……襲撃があったときも一生懸命頑張ったんだよ……?」
レルが褒めて褒めてアピールしてくる。
「ふふふ。そっか。それは凄いね。レル。よく頑張りました」
僕はレルの求めている道理に褒めてあげる。
「ぐへへへへへ」
それに対してレルがだらしなく頬を緩ませる。
「ありがとぉ……アルベトも頑張っているよぉー」
「……そうだね」
僕はレルのアルベトと言う言葉を聞いて何とも言えない感情を覚える。
……僕の中でその名前が一番付き合い少ないんだよなぁ……アンノウンよりも少ない。
アルベトなんて適当に作っただけだし、記憶とかも捻じ曲げて。
「ギリギリ……ッ!!!!!」
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