第14話

「はい……終わり」

 

 僕はレルに魔力を流し終える。

 これで十分。

 既にレルに対して多くの魔力を流して、バッチリとこれからも安心して暮らしていけるほどの魔力を流し込んでいる。

 何か無い限り二週間は持つだろう。


 ……まぁ、ここは戦場。

 何事もないことなんて無いんだけどね。毎回何かあって一週間しか持たない。まったく戦争は嫌だねぇ。


「……もっとぉー」

 

 レルがとろけた声で甘え、僕に対しておねだりしてくる。


「終わりだよ。これ以上流し込んだら、今度は僕の魔力でボンッてなるから」


「ぶー」

 

 膨れているレルを退かして、僕は椅子の方へと一人座る。


「アンノウン様」

 

 そんなところで、レインが僕の方へと近づいてくる。


「こちらが現在の戦況と各国の情勢になっております」


「ありがと」

 

 僕はレインから資料をもらう。

 現状の状況を説明した資料を僕はレインから毎週貰っているのである。情報って大事だよね。


「アルベト。お茶だよ。ちゃんとふーふーしておいてあるから安心してね」

 

 レルがお茶を淹れてくれる。

 ……本当は日本の抹茶が理想なんだけど……抹茶なんてない。紅茶しかない。実に寂しい限りである。


「ありがと」

 

 僕はレルが淹れてくれた紅茶をありがたく頂くl.

 レルの淹れてくれる紅茶は非常に美味しいのだ。


「アンノウン様。私お手製のクッキにーございます」


 レインは机の上にクッキーを置いてくれる。非常に美味しそうなクッキーである。


「あ、私もクッキー作ってきたの。良かったら食べて欲しいな。そこの女のより。ガサツで、汚くて、トチ狂っている女の作ったクッキーとか何が入っているかなんてわかったものではないし、食べない方が良いわよ?」


「ァ?」


「ァ?」

 

「ありがとね。二人共」

 

 僕は紅茶にお菓子。

 優雅なティータイムを楽しみながらレインが用意してくれた資料を……読、む。なるほど。

 紅茶を淹れてくれたのはレル。お菓子を用意してくれたのはレインとレル。

 ……あれ?僕ってば何もしていなくない?

 僕は今、とてつもなく恐ろしいことに気づいてしまったのである。


 

 

 あとがき

 レインは衛生です。排泄物を集めていても衛生です。だって、魔法があるもの。

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