第36話

「聖剣エクスカリバーァァァァァァァァァァァァアアアアアアアアアアアアアア!」

 

 マキナの手に握られている光り輝く聖剣が膨大な力の奔流を生み出す。


「……穿けッ!ライトニング!」

 

 レインの魔力が大きく荒ぶり、魔法が発動される。


「天撃ッ!」

 

 レルの手に握られている剣……僕のあげた剣も聖剣に負けず劣らずの力を発揮する。


 マキナ、レイン、レル。

 恐らく人類スリートップの実力を持っているであろう三人の猛攻撃が荒れ狂い、彼女たちの前に立っている魔王へと襲いかかる。


「……ふむ」

 

 圧倒的なまでの力を振う三人に対して魔王はたった一人で彼女たちという脅威に立ち向かっていく。

 魔王の身を守る魔法の盾が彼女たちの攻撃を防ぎ、魔王の手に握られている二つの剣が猛威を振るう。


「くぅ!!!」


「ふっ」 


 魔王の剣の一つがレルを打ち付け、さらにもう一つの剣がマキナを打ち付ける。


「まだまだッ!」


「……舐めるなァァァァァァァァァァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアア」

 

 マキナとレルが前線に立って魔王と剣をぶつけ合い、レインが後方に立って魔法を上手く使ってサポートしている。

 

 それに対する魔王はたった一人で全てをこなしていた。

 二つの剣を使った近距離戦闘に、多種多様な魔法を使って遠距離戦闘もこなし、魔法を使って自立する幾つもの盾を使って攻撃を防ぎ、回復魔法まで自分で使うことができる。

 たった一人でありとあらゆる力を使って戦闘することが出来るのであった。


「ふむ……」

 

 そんなマキナとレインとレルという人類代表三人と魔王の戦いを僕は離れたところから椅子に座って優雅に眺める。

 ……しまったな。

 紅茶とお菓子を持ってくれば良かった。

 ブリカススタイルでのんびりしていたかった……。


「強いな……」

 

 今代の魔王。

 その実力はちょっと僕の想像以上だった。

 レインとレルに力を分け与えて置いてよかった。


「頑張れぇー」

 

 僕は腑抜けた態度で必死に魔王と戦っているマキナとレインとレルを眺めながら、声援を呆然と送った。

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