第35話
「良し。全員いるね」
魔王の乗る船の上。
そこに飛ばしたレインたちが全員いるのを確認した僕は一度頷く。
「じゃあ、お願いね」
僕は隣にいるレインにちらりと視線を送る。
「任せてください」
レインは僕の言葉に頷き、魔法の発動の準備を開始する。
「ふー」
レインを中心として膨大な魔力が渦巻き、空気を震わせる。
その魔力の鼓動を感じて、船が慌て始め、魔族の姿が見えるようになってくる。
だが、もうすでに遅かった。
「良し。じゃあ、僕がサポートするよ」
レインは僕の言葉を聞いて、自分が構築した魔法の権限を僕へと移してくる。
僕はレインの魔法に結構干渉して、ガチ強魔法に変えてやる。
「はぁ……はぁ……はぁ……私とアンノウン様の合作……これは実質……」
何かよくわからないことを話しているレインのことを無視して、魔法を完成させる。
「はい、打っていいよ」
「えぇ、了承しました。……それでは。私とアンノウン様の愛の一撃、喰らいなさいッ!」
レインが魔法を発動させる。
轟音。
レインが発動させた魔法は爆発を起こす魔法。
魔法によって巨大な爆発が起こり、船を木っ端微塵に粉砕する。
これで終わりじゃない。
再び轟音が上がる。
水蒸気爆発だ。
魔法によって生み出された爆発の炎が水蒸気爆発を起こしたのだ。
これで、必死に生き延びようと対魔法の結界を貼っていた魔族たちも木っ端微塵で吹き飛ばされる。
「ほい」
僕は魔法を一つ発動する。
作り出すのは巨大な石の塊。
「せいや」
僕はそれを海へと投げ入れる。
津波が起こらないように波を操作する。
「はい、戦う場所完成」
海底に底面をつけた巨大な石の塊が海の波を遮って島のようにその存在感をあらわにする。
「ほいさ」
僕は全員に転移魔法をかけて、下へと降りる。
「……勇者か?」
そこにはすでに無傷で平然としている魔王が立っていた。
「じゃあ、後は任せたよ。空間魔法だけで僕はもう限界だから」
僕は異空間収納から椅子を取り出し、その椅子へと腰掛ける。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます