第8話

「よっと」

 

 僕は彼女たちを助けた後、小屋の方へと戻り着替えを行う。

 ボロボロの服から、彼女たちから貰ったきれいな服へと。

 シンプルな黒色の服なのだが、使われている生地も良さげなものだし、細かなところに施されている装飾はどれも丁寧で美しい。


「うーん」

 

 僕はさっきまで付けていた仮面を見る。

 顔全体を覆い隠すシンプルな仮面。そんな仮面には一つのきれいな宝石が嵌められている。普通に高そうである。


「これならばイケるか?」

 

 意味わからない謎の言葉。

 勝手に出てしまう傲慢不遜な言葉。

 それを、まるで貴族のような高そうな服装を身に纏った男が話していたら、周りはどう思うだろうか?

 本物の貴族のお忍びだと誤解してくれるのではなかろうか?

 なんとか、街でやっていけないだろうか?

 さっきまでのボロボロの服状態であんなこと話していれば、なんだこいつと思われて、虐められたりするかもだが、今の格好だったらあんなこと話しても、きっとすごい奴なんだって勘違いして虐められることは無くなるのではないだろうか?

 

「よし!」 

 

 ずっとこの森で生きていくのは不可能だ。

 そんな生活で生きていく自信が僕にはない。食料を見つける自信がない!

  

「行くか」

 

 僕は小屋から出る。

 ……街に行く。色々と問題もあるかもしれないが……森の中で一人サバイバルするよりは、良いよね?


「良し!」

 

 そうと決まれば早速行動を開始だ!さっきの女性たちはまだ居るかな?

 あの人たちに着いていけばいずれ街にたどり着くことが出来るだろう。


「えっと……確かこっちだよな」

 

 そういえばあの人たちは大丈夫だろうか……三人しかいないのに。

 多分元々いたであろう四人の騎士たちは殺されていたけど……彼女たちの護衛の意味も込めてついていくことにしよう!

 ……決して!決してストーカーではない!

 

「みっけ」

 

 僕は彼女たちを見つける。

 彼女たちは倒れている馬車をうんしょうんしょと持ち上げ、もとに戻そうとしているところだった。


「ほい」

 

 僕は彼女たちの負担が軽くなるように、気づかない程度に馬車を軽くして三人の身体能力をあげてやる。

 気持ち程度ではあるが……無いよりはマシだろう。


「おー!」

 

 しばらくして、彼女たちは馬車を元の態勢へと持ち上げ、走行可能な状態へと戻した。

 ドレスを着た二人は馬車の中に、騎士らしき女性は

 最初はギャンベゾンしか着ていなかった女性もしっかりと鎧を着ている。


「ついていくか……」

 

 僕は進みだした馬車についていった。

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