第28話
「ふんふんふーん」
朝、僕は朝食を食べ終えて歯磨きをしていた。
いつもどおりの優雅な朝。
そんなときに。
コンコン
軽やかな音が響いた。
玄関の扉がノックされた音である、。
「ふへ?」
僕は初めて玄関の扉がノックされたことに驚く。
……わざわざこんな辺境の地の小屋にお客さんが!?魔物も出るような森の奥深くだよ!?
いや。だからこそ、か。
こんなところに小屋が建っていたら誰でも気になるよね。うん。
「仮面……仮面」
僕は急いで口をすすいでからテーブルの上に置かれている仮面を手にとって装着する。
「これで良し。……何か見られてまずいものは……」
僕は部屋全体を見渡し、何か人に見られちゃまずいものが置かれていないかを確認する。
「ないね」
しっかりと部屋を確認し、仮面を被った僕は玄関の方へと向かう。
「如何用か?(はーい。何の用でしょうか?)」
僕は玄関の扉を開け、外へと出る。
「おはようございます。いい朝ですね。アンノウン様」
「レインか。して、我が居城に来て何の用であるか?(あ、レインさんじゃないですか。おはようございます。それで、僕の家にわざわざ何の用でしょうか?)」
外にいたのは僕が助けた少女、レインさんだった。
あのたこ焼きを焼いていたときに来ていたような地味めな服、化粧ではなく、バッチリと高そうなドレスを着こなし、ナチュナルメイクを施したレインさんがそこにはいた。
そして、そんなレインさんの周りには護衛と思われる騎士の方々が同席していた。
……それにしても、やっぱりレインさんはびっくりするくらいお可愛い方だなぁ。
「えぇ……っと、会いたくなってしまったから。という理由では駄目でしょうか?」
「我は寛大故、それであっても認めようではないか(えぇ。それでも構いませんよ)」
「ふふふ。ありがとうございます。そう言ってもらえてとても嬉しいです。……実は、先程あのような事を言ったのですが、しっかりと用はございましてですね」
「ふむ。我に如何用だ?(なるほど。そうですか。それでその用とは何でしょうか?)」
「はい……実は未だ助けてもらったお礼を私は出来ていません。そこで、です。そのお礼をするために私が今、寝泊まりさせてもらっている屋敷の方へと招待したいのです」
「我への献上……その心意気は認めるが、我にはそんなもの不要である(いえ、そのお気持ちだけで十分ですよ。私は見返り目的で助けたわけではありませんから)」
「いえ!私がお礼したいのです!お礼させてもらえませんでしょうか!?」
「良かろう……レインがそこまで思っているのというのあれば断る理由もなし(そこまで言うのでしたら、ありがたくお礼させてもらいます)」
僕はレインの言葉に同意する。
……はて?何故だろうか。底しれぬ嫌な予感を抱いているような気がするのだけど……なんでだろう?
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