第29話
「ほう……我に相応し居城であるな(こ、ここですか……?随分と立派な屋敷ですね……)」
僕は目の前の大きな屋敷に圧倒され、立ちすくむ。大きな屋敷に大きな庭。初めてみるような大きさである。
いや、口はものすごく偉そうになことを言っているけど。
「私の家ではなく、友の家ですが……いつかは私が住んでいる城へとお招きしたいのですが……」
「うむ。楽しみにしておる(はい。ありがとうございます。楽しみに待っていますね)」
僕はレインの言葉に頷く。
……というか、今。城って言った?レインってばどんな身分の女の子なの?ちょっとだけ怖いのだけど……。
「ふふふ。言質をもらいましたからね?」
それに対してレインは実に嬉しそうな声を上げる。
「うむ(はい)」
「それでは入りましょうか。今日のために美味しいお菓子と紅茶を用意したのですよ」
「我のための献身。褒めて使わす(わざわざ僕のためにありがとうございますね)」
「ありがたき幸せにございます」
僕はレインに連れられて、屋敷の中へと踏み入れた。
長い庭を馬車には乗らず、二人で談笑しながら進んでいった。
■■■■■
「どうぞ。たくさん食べてくださいね」
「レインの献上を受け取ろう(ありがとうございます)」
応接室らしき場所に通された僕はレインに渡されたお菓子と紅茶を頂く。
おー。
僕は出されたお菓子を食べて感嘆の声を内心漏らす。
クッキーも、マドレーヌも、出されたお菓子はどれも現代日本と変わらないほどの品質だった。
とても美味しい。
「それで、お礼なのですが……」
「うむ(はい。何でしょう)」
「何が欲しいかと考えた時、一番良いのは服なのではないかと思いまして……服を三着ほど用意させてもらったのですが、どうでしょうか?」
「ふむ。良き考えだ。確かに我が最も所望しているのは服であるな(ありがとうございます)」
「ふふふ。そう言ってもらえてよかったです。それでは持ってきてもらえますか?」
レインは隣に立っている燕飛服を着こなした執事のような男性へと声をかける。
執事のような男はレインの言葉に頷き、服を持ってくる。
一着目は黒を基調した服で、所々に金色の装飾が施されている軍服のような服で、マントもある。
……なんというか、言ってはいけないあの人の国の軍服のようだった。
すごくカッコいいね!
「どうでしょう?気に入って頂けたでしょうか?」
「うむ(はい。とってもカッコいい服ですね)」
「それは良かったです!では二着目を持ってきてくれますか?」
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