第30話

 次に運び込まれたのは黄金に輝く豪華な服であった。

 全部が全部黄金で見ていると、目がチカチカとしてくる。


「……」


「どうでしょうか?」

 

 沈黙している僕にレインは笑顔で告げる。


「これで更にアンノウン様の魅力が知れ渡ることになります!」


「我はこのままでも十二分に王として君臨している。これ以上は不要である(いや、申し訳ないのですが……これは僕が着るには少し派手すぎる……ような、気がしますね……)」


 すごい!

 勝手に喋る僕の口も今回ばかりは味方してくれている。

 これだけはない。僕はそう断言出来た。


「そうですね!……すみません。出過ぎた真似をしてしまいました。では、三着目はどうでしょうか?」

 

 最後である三着目は貴族紳士風のロングコートの服。

 色は紺色を基調として、豪華ながらも上品とした服装であり、あまりゴテゴテしたような装飾は施されていない。


「うむ。これは我が好みである(これは僕が好みの良い物ですね)」

 

「本当ですか!?それは良かったです!これは貴族たちと会合するときなどに使えるはずです!」

 

 僕の言葉にレインが笑顔を浮かべ、頷く。


「うむ。良き心遣いだ(それは嬉しいですね)」


「ありがとうございます!……それで、これらは受け取ってもらえるでしょうか?」


「当然だ。献上を拒むような真似はせぬ(はい。ぜひありがたく頂戴します)」


「これはお気に召さなかったようでしたので、この二つをお渡ししますね」

 

 レインが僕に言ってはいけないあの人の国風の軍服っぽい服と貴族紳士風のロングコートを受け取る。


「我への献上。ご苦労(ありがたく頂戴しますね)」

 

 僕はとりあえず今、軍服っぽい服へと着替え、今着ていた服と貴族紳士風のロングコートを異空間へと収納した。


「どうでしょうか?」


「完璧である。大義であった(はい。サイズもぴったりで非常に動きやすくていい服ですね)」

 

 着心地もバッチリ。サイズもバッチリ。

 マントとかもあって動きにくいかな?って思ったけど全然気にならない。完璧である。


「ふふふ。それなら良かったです。喜んでくれたというのでしたら、私も嬉しいです。本当に……」


「うむ(はい。とてもいい服ですよ。ありがとうございますね。わざわざ僕のために)」


 ……あれ?なんでサイズがピッタリなんだろう?

 別に僕ってばレインに服のサイズを教えていないよね?

 僕が頂戴した服もちょっとだけ大きかったら魔法で手直したからあれに合わせたというわけではないだろうし……。

 あれ?なんでだろうか。

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