第31話

 大きな屋敷。

 この屋敷には様々な施設が存在している。

 メインルーム、各種数多くの部屋、食堂、キッチン、大浴場、トレーニングルームなどなど。たくさん。

 そして、その様々な施設の中の一つに図書館が存在していた。

 

「ふむふむ」

 

 僕は今、図書館の中にいた。

 レインから許可を得て、図書館の方へとやってきていたのだ。

 今、僕に最も必要なものは知識である。無知は人を殺す。知識は人を豊かにする。視野を一つ広げてくれる。

 知識を集める。

 それが今、僕が最もするべきことだろう。


「んー。多いなぁ」

 

 図書館に置かれている本の数。その数は異常だった。

 天井にまで届くほどの高い本棚が幾つもあり、その本棚にビッチリと本が詰まっていた。

 一体何冊あるというのだろうか。 


「とりあえず探すかぁー」

 

 僕は魔法を発動し、本棚に置かれている本を探し回る。

 

「あ、魔法の本だ」

 

 そして、僕は魔法について記載されている本を発見する。


「げっ……多っ……」

 

 だけれどもその本の数は異常なまでに多かった。本棚一つ全部魔法の関連の本である。何冊あるんだよ……。


「これは良いや」


 流石にこれを全部読むの無理がある。どう考えても不可能である。

 どうせ僕は魔法が使えるのだ。わざわざ読む必要はないだろう。

 そんなことより今、僕に必要なのはもっと基礎的な知識であった。

 僕は図書館中を探し周り、本を集めていく。


「これくらいからな?」

 

 僕は必要そうな本を集め終える。

 見た感じ必要そうなのはこれくらいである。


「……これを全部読むのか」

 

 僕は読む前からげんなりとした声を上げる。

 今日で一体どれくらい読めるだろうか?


 コンコン

 

 僕がそんなことを考えていると、図書館の扉がノックされる。


「入っても良いでしょうか?」


 そしてレインの声が聞こえてくる。


「許可しよう(はい。もちろんです)」


「失礼します」

 

 レインが図書館へと入ってくる。


「こんばんは。アンノウン様。調べ物の方は順調に進んでおられるでしょうか?」


「うむ。今、我が欲する知識が書かれた本を集め終えたところである(はい。今、自分が知りたい知識が書かれた本を集め終わったところです)」


「あら、そうですか……しかし、もう既に時間的に遅いですね……どうします?」


「二度、三度来よう考えているが、構わぬか?(……何度もお邪魔させていただきたいのですが……)」


「えぇ。構いませんよ。……しかし、何度もご足労願うのは申し訳ないですね。それらの本は一旦貸し出しましょう


「素晴らしき提案だ(ありがとうございます!)」

 

 僕はレインの言葉を聞いて一瞬で本を異空間へとしまう。

 もう返さないよ?読み終わるまでは。

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