第38話

「ふわぁ」

 

 僕は一人ベッドの上であくびを浮かべる。

 ここでの生活は快適を極めた。

 外に出る必要なんて無いくらい……。

 食事も出る。暖かで豪華な住がある。最高級の衣がある。

 完璧ではないか。


 この世界にはゲームなんてないし、暇にもなってしまう……これが一番の懸念点だったのだが……そんなことはなかった。

 この世界には魔法があったのだ

 魔法って本当に便利で、何でも出来た。工作も、養殖も、植林も、何から何まですべて魔法で行うことが出来る。

 僕は魔法を使って楽しく遊んでいた。暇な時間などなかった。

 

 なんとなくで普通の銃サイズのレールガンなんかも作ってみた。

 これからはこのレールガンを使って戦っていこう。……こんなもの使う必要なんて一ミクロンもありはしないが。

 こんなガラクタを使うくらいなら普通に魔法を使って戦うほうが百倍強いであろう。

 だが、レールガンを使った方がロマンある。


「ご飯持ってきましたよー」

 

 レインの声が聞こえてくる。

 この声を聞いた僕はメインルームの方へと転移する。


「今日のご飯は私お手性のピザです!食材はどれも各国から取り寄せた最高級品を使っています!」

 

 レインは楽しそうにそう話しながらピザをテーブルの方に乗せる。

 置かれたピザはシンプルなマルゲリータ。

 実に美味しそうであった。


「今日も一緒に食べましょう!」


「あぁ、良いだろう。我とテーブルを共に出来ること感謝するが良い(えぇ。もちろん。一緒に食べたほうが楽しいですしね)」 


 僕とレインは隣に座り、マルゲリータを分け合う。


「どうでしょうか……?」


「うむ。実に美味である(とても美味しいですよ)」


「本当ですか!それは良かったです!……えへへ」

 

 レインは頬を赤く染め、嬉しそうに笑う。

 それからしばらくの間、雑談を交え合わせながら食べ進めていく。

 話の内容はレインの語ることに対して相槌を打ち形となる。僕は話すことなんて特にないしね。

 引きこもり生活を送っているんだし。


「ごちそうさまでした」

 

 僕は手と手を合わせ、一言告げる。いただきますとごちそうさま。この二つの言葉だけはちゃんと言えることが出来る。


「ふふふ。お粗末様でした……これで良いんでしたよね?それではまた後で来ますね」


「うむ(はい)」

 

 僕はこの棟から出ていくレインへと手をふる。

 残されたのはまた、僕一人。

 よーし。お風呂入ろ。


 ……そういえば、ふと思ったんだけど僕が使っているトイレに流した排泄物やお風呂の水ってどうなっているんだろう?

 魔法によって何処かに運ばれていっているのは知っているけど……。

 下水ってどう処理されているのだろうか?やっぱり魔法なのかな?

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