第39話
「ふへへへへへへへ」
レインはだらしない笑みを浮かべながらアルベトが使ったフォークへと顔を近づけ、匂いを嗅ぐ。
レインはそれだけで体を悶えさせ、頬を赤く染める。
咥えてる、舐めてみる。そんな恐れ多いことは出来ない。聖物を汚すことなど出来ない。
「はぁ……はぁ……はぁ……良い……すごい良い……」
息も絶え絶えの状態でレインは部屋に置かれている棚の方に向かい、きれいになれべられている食器の一つに加える。
ここに置かれている食器類。
これらはすべてアルベトが使った食器である。
狂気。
今、レインがいる部屋を表す言葉……それはこの一言がすべてを内包してくれていると言っても過言じゃない。
飾られているのはアルベトが使った様々な物品に壁、天井。これらすべてに貼られたアルベトの写真。
とある聖遺物によって一瞬でその場面を切り取られ、その切り取られてたものが映されている紙が貼られている。
そして、この部屋は異臭に満ちあふれている。
それも当然。
この部屋には今までアルベトの排泄物が全て保管されているのだ。
正常な感性を持った人間がこの場所に訪れれば気絶してしまうだろう。
そんな部屋の香りをレインは至福の香りだと告げ、この部屋を聖地として扱っていた。
狂気。
この言葉以外に何か言葉があるだろうか?
ドバドバ
部屋に水の流れる音が聞こえてくる。
「あぁ……そろそろですか」
レインは部屋の隅に置かれているバスタブの方へと視線を向ける。
そのバスタブには大量のお湯が入っていた。
「……それでは……」
レインは自らの服を脱ぎ、その裸体を晒す。
芸術品のように洗練された美しい体に、白くスベスベでキメ細やかな素肌が晒される。
「失礼します」
満パンになった湯船へとレインはゆっくり自分の体を浸していく。
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああああ」
レインの口から甘美な悲鳴が漏れる。
この水。
これはすべてアルベトがお風呂に使った
「はぁ……はぁ……はぁ……アンノウン様の体に触れた聖水に私の体が浸っている……!合わさっている!アンノウン様水が私の中へと入ってくりゅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅうううううううううううううううううううううううう!!!」
これを理解出来る人間がいるのだろうか?
人類の業は……根が深い、深すぎると言っても過言ではないだろう。
「はぁ……はぁ……はぁ……こんなの……実質的に性行為のようなもの……!」
レインの狂った叫び声と笑い声が今日も響き渡る。
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