第21話

「ふむ。凱旋とでも行こうか(よし、ダンジョンの方に潜っていきましょうか)」


「うん!パパ!頑張ろうね!」


「我が頑張る必要など無い。結果など適当にやっていても向こうからやってくる。(はい。頑張りましょうね)」

  

 孤児院が強面の男たちに襲われるということがあってから一週間。

 僕はニーナと一緒にダンジョンの方へとやってきていた。

 

 あの強面の男たち。

 三下のようなことを言っていたし、また来るかなって?思っていたのだけど、来ることはなかった。


 なんでかはわからないけど、良かった!

 あのまま絡まれていたら本当に国を滅ぼすことになっていた。別に僕は国を滅ぼしたいわけでも人を殺したいわけじゃない。

 理不尽な法律は許せないけど、そんな簡単に変えられるものじゃないことくらいわかる。

 今、レインがそこら辺の理不尽な法律、制度の改革を進めているらしいし、ここら辺はレインに任せている。

 

 僕に出来るのは自分の後ろにいる人たちを守ることだけ。

 流石の僕でもすべての人を幸せにすることは難しい。

 すべての人を幸せにするのは大変だし、やったとしてもそれはとても歪で人とは違うまた別のなにかへとなってしまうから。

 僕はすべての人が幸せであれとは願わない。せっかくの多様性が失われてしまう。

 

 まぁ、自分の目の前で何も悪いことをしていないのに苦しんでいる人たちがいたら何が何でも助けるけど。

 僕は最高に我儘なのだ。


「荷物持ちは任せてね!」


 魔物の素材。

 今まで別に対して興味が無くて捨てていた素材。

 だけど、そろそろ僕が持っていたお金も心細くなってきたのでお金を稼ぐため、ダンジョンに行って魔物の素材を集めることにしたのだ。

 僕の異空間収納。

 実に便利なのだけど……何故かダンジョンの魔物を収納することは出来ないのだ。残念ながら。

 そのため、わざわざニーナに荷物持ちとして来てもらっているのだ。


「うむ。我の荷物持ちという大命を背負っているのだ。しかとこなせ(はい。よろしくおねがいしますね)」


「うん!」

 

 僕はニーナと一緒にダンジョンの中へと……10階層へと転移した。

 よーし。たくさんのお金を稼ぐぞー!


「むふー」

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