第27話

「とうちゃくー」

 

 それからしばらく。

 三時間ほど歩いた後、僕と梨々花は隣の街に着く事ができた。

 今まで行ったことのある王都とは違って、そこまでの華やかさ、大きさはないけど、それでもしっかりとした街で、街行く人々にも活気で溢れている。

 今、僕と梨々花は上空で街の様子を眺めているのだ。


「んー。趣があるわね」

 

 僕の隣にいる梨々花がボソリとつぶやく。


「うむ……(そうだね。僕だってそうなんだから、もっと未来から来た梨々花はもっとそう思うよね)」

 

「えぇ、そうね。……私ならお兄がいた時代の建物を見てもそう思うよ」

 

 僕の言葉に対して梨々花が頷く。

 やっぱり言葉のキャッチボールがされていないけど、されているよね……?ん?どういうこっちゃい。


「あ、流石に私たち……この格好のまま入るわけにはいかないよね」

 

 梨々花が自分と僕の服装を見て告げる。

 僕の服は明らかに凡人ではないことを強調している豪華な軍服で、梨々花の服は一体何の素材で出来ているかもわからないような未来の服。

 こんな二人が街の中に入るとか違和感でしかないよね。


「うむ……そうであるな。我が作ってやろうか?(うん。そうだね。……僕なら魔力で服とか作れるけど……作ろうか?)」


「いや、良いわ。私だって服をすぐに作れる機械があるもの。ふふふ……お兄は全て私に任せていればいいの。食事も、服も……全部私が作ってあげる。……家は既にあるようだけど」


「ふむ……そうか。ありがたい」

 

 僕は梨々花のその申し出に感謝の言葉を告げる。


「はい。どうぞ」

 

 梨々花が謎の機械を取り出し……それを操作すると一着の服が……庶民風の拙い服が出てくる。


「ついでにその軍服も作ってあげたわ」


「感謝しよう(あっ。ありがとね)」

 

 僕は服を作ってくれた梨々花に感謝の言葉を述べ、魔力で作っていた軍服を消して、梨々花が作ってくれた庶民風の服を着る。

 梨々花も僕の横で着替えている。


「よし!これで完璧!じゃあ……行こうか!」


「うむ……(うん。そうしよっか)」

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