第28話
「ふんふんふーん」
僕は上機嫌な梨々花と一緒に街の中を歩く。
「あら?カップルさんかしら?」
そんな様子を見た屋台のおばちゃんが僕たちに向かってそう告げる。
「うんッ!そうなの!」
それに対して梨々花が元気よく答える。
……いや、兄妹だけど……?別にカップルじゃなくない。
まぁ、でもこんなに見た目が変われば兄妹とは見えないか。
というか、本当に梨々花は僕の妹なのか……?実年齢は梨々花の方が上なんじゃ……?
いや、僕が兄だな。
なんとなくそう思う。
いや、そうであると確信を持つことができる。
「あ、お姉さんの売っている串焼きを二つくださいな」
「あら、やだ。お姉さんなんて。嬉しいから串焼き一本を長くして一本分の値段で売っておくわね。……お二人で一つの串焼きを仲良く食べてね?」
「きゃーッ!ありがとッ!お姉さん!はい、お金」
屋台のおばちゃんと梨々花がハイテンションで会話しているのを僕はぼーっと眺める。
仲良いなぁ……。
「お兄。一緒に食べよ?」
「うん。……食べようか」
僕と梨々花は串焼きを食べながら街の中をダラダラと歩く。
「あ、このアクセサリー可愛い。お兄に買ってあげる」
「む……?感謝しよう(ありがと)」
「どういたしまして」
「あ、これあったら便利じゃない?お兄に買ってあげる」
「む……?感謝しよう(ありがと)」
「どういたしまして」
「あ、お兄の好きな甘味あるじゃん。お兄に買ってあげる」
「む……?感謝しよう(ありがと)」
「どういたしまして」
「あ、珍しいオブジェがあるよ。お兄に買ってあげる」
「む……?感謝しよう(ありがと)」
「どういたしまして」
僕と梨々花は……前世の時と同じようにショッピングを楽しんだのだった。
いやぁ……懐かしいな。まさか、死んで転生した今、再び梨々花とショッピングする日が来ることになるとは思わなかった。
世界を渡る機械を作れる梨々花凄すぎたよね。というか、なんで見た目も若いままなの……?
「ふへへ。楽しい……」
「うむ……。(うん。そうだね)」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます