第二章 大迷宮編
プロローグ
「はぁ……はぁ……」
一人の少女が息を切らしながら一生懸命足を前へ前へと進めていく。
息も絶え絶えになりながらも……それでも転がるように前へ前へと進んでいく。
「ガァァァァァァァァァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」
少女を追いかけるように荒れ狂い、進んでいく一匹の化け物。それは異様に長い手足を持った猿のような化け物。
「キャ……」
少女は躓き、地面へと体を倒す。
「ガァ」
化け物はその醜悪な表情を三日月に割れさせる。
化け物は床に無様にも転がっている少女の方へとゆっくり近づいていく。
「……ひっ……ァ……」
少女の瞳に涙が浮かび上がる。
「……ァ……ガッガッガッガ!」
化け物の口から笑い声のようなものが溢れ、その長く大きな手を振り上げる。
「……あ」
そしてその長い手は少女に向かって無慈悲にも振り下ろされる─────その瞬間
「ほう。ここがダンジョンであるか(ここがッ!ダンジョンッ!!!)」
一人の男がこの場に降り立つ。
「ほう……(ほえ?)」
化け物の長い手が少女の代わりに一人の男に体が当たり……弾け飛んだ。化け物の腕が。
「ガァ?」
「……え?」
「我に歯向かうか……(ほえ?)」
男は首を傾げながらも右腕を化け物の方へと向ける。
その男の右腕に見慣れない物体が握られていた。
「よかろう!その心意気や良し!……だが、死ね(まぁ……殺しちゃっていいよね。魔物だし)」
バンッ
少女が聞いたこともないような轟音が鳴り響き、化け物の頭に大きな穴が開いた。
そして、化け物の体は光となって消えた。
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