第11話

「そこに座れ」


「よかろう(はい。わかりました)」

 

 僕は警察らしき人の言葉に従い、席についた。

 その僕の前の席に警察らしき人も座る。

 

 今、僕が居る場所は取調室のようなところだ。

 狭い空間に、小さなテーブルが一つと椅子が二つ。小さなテーブルの上に照明が一つあるだけの寂しい場所だ。

 

 警察らしき人が僕の前にもう一人座り、僕の後ろに二人、座っている警察らしき人の後ろの二人。入り口に二人、と。

 計7名。

 わーい。ラッキーセブンだー。

 

「まずはじめに言っておこう。我々は決して君に危害を加えるつもりはない」


「ふん。貴様ら劣等種に我を害せんがな(ありがとうごさいます)」

 

「そうか……我々が知りたいのは唯一つ。君が何者であるかだ。仮面に加え……上質服を身に纏っている。明らかに只者ではない。流石に放置することは出来ない……君が一体何者であるか。それを教えてはくれないかい?」


「我は我だ(すみません。言えません)」


「なるほど……話せないと」


「それ以外の答えなどない(はい。すみません)」

 

「では、質問を変えよう。目的はなんだ?この街にやってきた目的はなんだい?


「我は金を持っておらん。仕事探しだな(実はお金を持っていなくてですね。お金を稼げる仕事を探すためです)」


「な、なるほど……」

 

 僕の言葉に警察らしき人は頬を痙攣させる。

 明らかに金を持っていそうな見た目にも関わらず、お金を持っていない。厄介ごとの匂いしかしないであろう。

 別に僕は厄介ごとを運んできたつもりはないし、多分運んできてないのだが。


「……最後の質問です。街へと危害を加えるつもりはありませんか?」


「今この街が残っているそれが答えよ(ありません)」


「なるほど……これ以上無いほどの答えですね……残っているのが答え、ですか……。えっと、仕事探しでしたよね?冒険者などどうでしょうか?冒険者ギルドへと行けば簡単になれ、実力があればすぐにお金を手に入れる事ができるのですか……」


「ふむ。良き案ではないか(ぜひ、なりたいです)」


「なるほど。それは良かったです」


「して、その組織はどこに?そしてどんな組織なのだ(すみません。それで冒険者ギルドとはどこにある組織で、どんな組織なんでしょうか?)」


「あっ……なるほど。そこからですね。今、説明しますね」

 

 警察らしき人が頷く。


「何者なのだ……冒険者ギルドを知らない……?過去の貴族が現代に復活した?おとぎ話かよ……」

 

 警察らしき人の小さな呟き声は聞かなかったことした。

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