第10話
「よーし、と」
僕は街の中へと入っていく女性たちが乗っている馬車を見送る。
彼女たちが乗っている馬車に襲いかかってくる人たちの数はなんか知らないけどびっくりするくらいに多かった。
あの後、僕はストーキ……んん!護衛していたのだけど、合計で30人くらいの人から襲われそうになっていた。
全員ことごとく返り討ちにしてあげたけど。
……一体彼女たちは何をしたのだろうか。こんなにもたくさんの人に襲われるとか普通じゃないよね……。
彼女たちが、西太后やメアリー一世、エリザベス・バートリーのような後世にまで語り継がれるような悪女だったらどうしよう。
……も、もしかしたら……僕はとんでもないことをしてしまったのかもしれない……。
安易に襲われそうになっている可哀想な女性だからと言って助けるのは……良くなかったかもしれない……。
……。
…………。
わ、忘れることにしよう。うん。向こうは要人であり、こちらは既に国外追放された問題児。どうせ、関わることなどないだろう。
僕は彼女たちのことなど忘れ、街の中へと入っていく。
街へ入るためのチェックなどはない。街へ入るのにお金が取られたりもない。
ラノベとかだと大体お金が必要だとか、犯罪歴を確認する魔道具とかで確認されたりとかがよくあるので、怯えていたのだけど、良かった。
「串焼き一本30ベルク!安いよー」
「誰かー!イカ焼き買わんかー。美味しい美味しいイカ焼きは買わんかぁー!」
「このペンダント!要りませんかー!特別な魔道具ですよ!なんて今なら100000ベルク!破格のお値段ですよ!」
至るとこから聞こえてくる商売の声。
それに僕はテンションが上がる。
基本的に買い物はスーパーで済ませる僕にとって、こんな感じでお店の人が大きな声で集客をしているを見るのは新鮮だ。
……ところでベルクとは一体何なんだろうか?
日本で言う円と同じなのだろうか?為替相場は一体どれくらい……。一対一だと非常にわかりやすくて嬉しいのだけど……。
「ふむ……」
さてはて。
僕は一体この先どうしようか……特にすることが、いや、出来ることがない。
ラノベとかによくあるような冒険者ギルドはあるだろうか?あの非現実的な巨大組織はこの世界にあるのだろうか?
……あると良いのだけど……。
「すみません。そこの貴人」
「ふむ?何か用か?(はい。何でしょう?)」
何故かいきなりなんか武装している警察みたいな人に話しかけられた。
……え!?な、何!?何か僕悪いことした?
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