第14話 長女
闇が晴れ……その闇の中から一人の美しい女性が姿を表す。
「お姉ちゃん」
僕は姿を表した女性のことを呼ぶ。
「死になさい」
姿を表した女性……お姉ちゃんは僕の姿を見るなり、地面を蹴ってその刃を向けてくる。
「却下」
僕はその刃を素手で受け止める。
お姉ちゃんのその刃は僕の薄皮一枚切ることもできない。
「ふぐっ!大人しく殺されなさい!あなた!一体何人の命を無駄にしたの!」
「何百億やない?」
「なんということを……!私を救うなんて無駄なことを!多くの命を助けなくては!」
「え?そう……僕を止めるのがお姉ちゃんの役目。お姉ちゃんが復活したことによって救われる人の数の方が多いかもよ?」
「あなたが誰も殺さなければ済む話よ……!ここで一度天誅を下してやろうかしら?」
「え?出来ると思う?まだ病み上がりのその体で?」
「ぐぬぬ……あなたを殺せない私の無力さが許せない!あなたが死にさえすれば何人もの人が救われるのに!」
「残念でしたー」
僕は悔しがっているお姉ちゃんの姿を見て嗤う。
「ふふふ」
そして、僕は笑い声を漏らす。
良かった……かつての日常が戻ってきて。
「……懐かしい日常」
「え?あれが日常なの?」
「……」
「正気?」
「はぁ……はぁ……はぁ……随分と素晴らしい家族じゃないか!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます