第六章 人魔大戦編
第1話
「んー。あぁ……」
僕は大きく背伸びをし……大きく息を吐く。
一人。
梨々花と一緒に王都の方へと帰った僕はとある用事もあり、一人でちょっと外を出歩いていた。
「……これ、か?」
イルミ王国の横に存在している一つの巨大な森。
そこを探し歩いていた僕は……魔法によって巧妙に隠されたとある一つの空間を感知する。
「よし……」
僕は魔法を発動し、隠された空間を暴く。
「おぉー」
魔法を解いたことによって顕になった一つの屋敷を見て僕は感嘆の声を上げる。
どこか怪しげな雰囲気を持っている一つの屋敷。少しだけ古びていて、その建築様式は……見たこともない全く持って新しいものだった。
そんな屋敷の隣には巨大な象の石像が置かれている
象の石像からは強大な魔力が感じられ、そこにあるだけで僕を威圧してくる……明らかに普通じゃないだろう。
「本当にあった……じゃあ……」
僕は今まで持っていた疑惑を確信へと変える。
「良し……じゃあ、行こうか」
僕は屋敷の方へと歩を進める。
屋敷の扉はまるで僕を招き入れるかのように……ゆっくりと、大きな音と共に開かれた。
屋敷の中へと僕は入っていく。
■■■■■
ほのかな光源のみが差し込む暗い大きな部屋。
僕の前には下へと続く……埃の被った螺旋階段が広がっている。
「ふふふ、やっと見つけたよ……」
そこの階段をゆっくりと降りながら僕は……下の部屋の中心に座っている男の方へと近づいていく。
「くくく、待ちわびたぞ」
僕の言葉に対して……少しくぐもっていて、聞き取りにくい声が帰ってくる。
「いやぁ……待たせて、ごめんね」
僕はゆっくりと男の方へと近づいていく。
埃が薄く積もった床を歩きながら。
僕が近づいてくることに反応して椅子が回転し、座っていた男の顔が僕の方へと向けられる。
そのおかげで男の顔が確認出来るようになる。
顕になった椅子に座っている男の顔。
それは僕の予想通りだった。
「アルベトくん?」
顕になった椅子に座っている男の顔。
それは……アルベトと瓜二つだった。
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