第6話
「……なるほど。そういうことでしたか……。それならば了承致しましょう。提案に賛成した方がうまく行きそうですしね」
レインは梨々花の言葉に頷く。
「正直なことを話しますと……私で独り占め出来るような人じゃなそうですし……」
諦めたように告げ、儚げな笑みを浮かべるレイン。
そんな彼女の手から……手を強く握りすぎて血が垂れていた。
「二人もそれで良いですよね?」
「……うん」
「まぁ」
レインは自分の両隣にいるニーナとレルに告げる。
それに対してニーナとレルも頷く。
「そう?ふふふ、ありがと」
それに対して梨々花が強気な笑顔を浮かべる。
「じゃあ……これからよろしくね」
梨々花はレインの方へと手を差し伸べる。
「えぇ……よろしくおねがいしますね」
その手をリーリエは笑顔で頷き、互いに笑顔を浮かべ合う。
今、ここに同盟が結成した。エルピスを共同で管理するための同盟が。
四人は笑顔を浮かべ合う。
ピチャ……ピチャ……
そんな笑い合う……可愛い少女たちが笑い合う空間で水滴の音が響く。
床に水滴が……真っ赤な雫が滴る。
テーブルの下。
彼女たちの握られている拳、テーブルの下、見えないところで強く……強く握られれている拳からは血が流れ続ける。
そんな血になど気づかないと言わんばかりに四人は笑顔を浮かべ、笑い合う。
(一番は私です)
(パパの寵愛を受けるのは私)
(例え、一番遅くとも思いも、勝負も負けない)
(お兄の一番は私)
彼女たちは心の中で己の欲望を、闘争心を滾らせる。
そんな内心などおくびにも出さず、笑いあい続ける。
もし、この場に中央騎士団長が入れば、卒倒していただろう。この場に渦巻く濃厚な殺気と
彼は一人、忘れ去られ、人々に感謝されながらダンジョンに潜っているのが一番の幸運かもしれない……。
■■■■■
そして、彼女たちは知らない。
アルベトがもはや誰にも縛られない最悪の存在になっていると言うことに……。
彼女たちは手を取り合い、彼は動き始める。
世界が裂ける。
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