第35話

 帝城の王の間。その玉座。

 そこに一人の魔族の男が堂々たる態度で座っていた。


「う、うむ。よ、よくぞ、まいった……」

 

 その見た目とは、態度とは対象的にその声はこれ以上ないまでに震えていた。


「魔族、四天王が一人。レイオフが前によくぞ立ったではないか」

 

 ……ものすごく声震えているし、冷や汗ダラダラなんだけど……。

 

「それは我がセリフたるぞ?(え……?な、なんか……大丈夫ですか?)」


「く、く、く、くわぁー!!!舐めるでないわッ!!!我は四天王が一人!人間風情に負けるはずがないわッ!!!」

 

 四天王を名乗る魔族の男、レイオフは大きな声を出して威嚇し、魔力を暴走させる。

 莫大な魔力がこの空間内を包み込む。


「「「ッ!」」」

 

 その膨大な魔力にレイン、ニーナ、レルが驚愕する。

 レイオフの力。それは驚愕に値し、まだ自身の持っている力を完全にコントロール出来ていないレイン、ニーナ、レルの三人ではレイオフに勝てないだろう。 

 それを容易に理解させる圧倒的な力だ。

 僕の足元にも及ばないんだけど。

 

「ふふふ。面白い男だ。我がしばし踊ってくれよう(えっと……それではこいつの相手は僕に任せてください)」

 

 僕は一歩前に踏み出し、レクオフの近くへと寄る。


「おまかせします」


「パパ!頑張って!」


「あ、安全にね!」

 

 三人は完全に部外者としての立場を取り、この場の端の方へと移動する。

 中心に残されたのは僕とレイオフだ。


「……うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」

 

 レイオフが自分に喝を入れるかの如く大きな声で叫ぶ。

 

「来いやッ!!!四天王が力見せてやるッ!!!魔族の夢をッ!!!魔族の悲願を叶えるためッ!!!我らが王のためにッ!!!


 レイオフは叫ぶ。

 絶対の覚悟と絶対の執念を持って。


「ジークサタンッ!!!」


 ジークハイルみたいなノリ辞めない……ドイツとかだったら殺されているかもよ?


「せいぜい足掻くと良い。劣等種(え、あ……なんか、そう。頑張ってね)」

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