第17話

「ァア!?誰だァ?テメェ」

 

 ニーナの胸ぐらを摑んでいた強面の男が僕を睨みつける。


「貴様らのような劣等種に名乗る名前は持ち合わせておらんよ(子供に手を上げるようなあなたに名乗るほど私の名前は落ちぶれていません)」


「舐めてぇんのか!!!テメェ!!!この……ッ!?」

 

 強面の男は僕から手を開放しようとするが、上手く行かない。僕がガッチリと掴んでいるからだ。

 どれだけ動かそうと力を入れても、腕はピクリとも動かない。

 

「テメェ……なにもん……いや」

 

 強面の男は一度首を振り、そして再び僕の方へと視線を向けてくる。


「……カッカッカ。んだぁ?テメェ。こいつらの新しい保護者か?ァ?」


「だとしたら何か問題でもあると?(だと言うならばなんだと言うのですか?)」


「なら、出すもん出してもらわねぇとな。こいつらには借金があるだよ!借金!わかるか?ァ?少し前、このガキの親が借金を膨らませてトンズラしてなぁ。ダンジョンになんて行くからなァ……それをこの女に払わせてんだよ。金貨100枚。きっちり払ってもらわねぇと」


「それで構わぬのか?(なんですか、たったそれだけで良いんですか?)」

 

 僕は異空間収納から金貨100枚が入った袋を取り出し、強面の男たちに投げつける。


「……ッ!?」

 

 あっさりと払った僕に男たちは驚愕の表情を浮かべる。

 しかし、それも一瞬だけだ。


「おうおう。じゃあ更に金貨50枚払ってもらおうか」


「ァ?(何でですか?)」


「そんな声を荒らげてくれるなよ……毎秒金貨一枚。それが利子なんだ。……仕方ねぇだろ?利子なんだから」


 ……詐欺師かな?

 ヤクザみたいな人だし、まともな人間ではないと思っていたが……完全に駄目だな。こいつらは。


「……面倒だ。借金なぁ(ふー借金ですか)」


 僕は一度を大きくを息を吐いて、言葉を口にする。


「貴様ら劣等種の雑多な集まりを潰せば借金などなくなるな?(組織を潰してしまえば借金なんて関係ありませんよね?)」


「ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああああああ」

 

 握っている男の腕。

 それを握りつぶして僕は傲慢不遜に告げた。

 こいつらは非常に不快だ。孤児院があんなに悲惨な状況だった原因はこちらだろう。

 法外な借金を押し付け、そして子供たちを助けるのではなくて金稼ぎの道具とて使い潰す。

 外道だ。

 ……こんなこと決して許されることじゃない。

 

「「「……ッ!?」」」 

 

 僕は仮面の下で……眼の前の強面の男たちを睨みつけた。

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