第16話

 朝。

 何故か起きたときに湿り、ベタついていた首元を拭きながら朝ごはんの準備を進める。


「ぶーん!!!」

 

「おりゃおりゃおりゃぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああ!!!」


「ほーわちゃぁ!!!」 

 

「ふふん。それで……なんかパパ呼びに……」


「は?パパってお前が呼ぶな」


「ごめんなさい」


「そ、それで結局どうなるの?」


「え?……あ、いゃ……それ、は……き…だょ」


「「「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああ!!!」」」

 

 今日の朝ごはんはサンドイッチである。

 孤児院全員の腹を満たせるように大量に具材を作り、サンドイッチのパンを準備する。

 ちなみに子供たちは今日も元気である。

 子供たちが元気なのはとても良いことだ。


 コンコン

 

 そんなとき、孤児院の扉を叩く音が響き渡る。


「パパ!私が出るね!」


 その音に反応して、妙につやつやなニーナが反応する。


「うむ。あいわかった(はい。わかりました。お願いしますね)」

 

「わかられた!!!」

 

 ニーナが元気よく扉の方へと向かっていく。

 僕はそんなニーナを様子を確認した後、朝食作りの再開のためにキッチンの方へと視線を送る。


「おいゴラァァァァァァァァァァァァァァアアアアアアアアアアアアアアア!!!」

 

「キャッ!!!」


 玄関の方から初めて聞く男の怒号と、ニーナの悲鳴が聞こえてくる。

 ……え?何?


「糞尿のようなお前らが何していやがるッ!借金のことはどうしたんやワレェ!!!」


「キャッ!辞めて!触らないで!


「ふー」

 

 只事ではないと判断した僕は玄関の方へと向かう。

 玄関に居た者、広がっている光景。

 それは数人の強面の男たちに、その男の一人に胸ぐらを掴まれているニーナだった。


「ァア!?何言っちょ前の女みてぇなことを言っていやがる!!!お前はッ!」


「如何用か?(何のようでしょうか?)」

 

 僕はニーナを掴んでいる男の腕をひねり上げ、口を開いた。

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