第18話

「て、テメェ!何のつもりだッ!!!」

  

 僕に腕を潰されたせいでうずくまって腕を抑えることになっている男の隣にいた強面の男の一人が僕の方へと噛み付いてくる。


「我は我の思うがままに行動しているまでよ(僕は僕の思った通りに行動しているだけですよ)」

 

 僕は強面の男に一切動じることはなく、一歩前に踏み出す。


「……ハッ!金を借りたのはこれの親父だ。俺らは正当な権利を主張しているだけだ……それに反すると言うのであれば国の法律に反することになるのだぞ?」


「それのどこに問題があると?(はて?それのどこに問題があるというのでしょうか?)」


「「「は……?」」」

 

 僕の答えに強面の男たちは疑問符を浮かべて、呆然とした表情を浮かべる。

 こんな中世の、子供たちを平然と傷つけることを容認するような法律を守る必要なんて無い。

 少なくとも僕はそう思う。僕は自分の感情に従うだけだ。


「問題あるに決まっているだろう!法に反すれば、捕まるのだぞ!?理解しているのか!?」


「では、国ごとを滅ぼすまでよ(でしたら仕方ないですね……国を滅ぼすしかありませんね)」


「「「は……?」」」

 

 僕の言葉に再び強面の男たちは疑問符を浮かべて、呆然とした表情を浮かべる。


「そ、そんなことが本当に出来るとでも思っているのか?」


「我に不可能などない(ふふふ、生憎と。僕に出来ないことはないんですよ)」

 

 僕は内なる魔力を解放させて、告げる。

 

「……っ」

 

 それを見て、感じて、強面の男たちは言葉を詰まらせる。

 当然だ。僕の、アルベトの持っている強さ、力は常識外なのだ。

 その魔力に触れれば格の違いを否応にも理解させられる。

 国ぐらい簡単に滅ぼせる。そう思わせる。


「ば……かな。出来るはずが……出来るはずがないだろッ!」


 強面の男たちは動揺しながら叫ぶ。


「そう思うのであればそれで構わぬよ(そう思うのでしたら別に構いませんよ)」

 

 しばらくの間僕と強面の男たちが睨み合う。

 一歩。

 僕は強面の男たちの方へと一歩踏み出す。


「ヒッ」

 

 その瞬間に強面の男たちは一歩足を引き、恐怖の表情を浮かべる。

 そして。


「クソがッ!!!覚えていやがれッ!」


「この犯罪者がッ!」


「仮面とかその口調とかキモいんだよ!」

 

「いつか後悔させてやんよ!」 

 

 三下のような捨て台詞を吐きながら逃げていった。


「ふんっ。下らぬ劣等種共よ……実に愚かしい(これで終わりですね)」


 僕はぼーっとしているニーナを置いて、キッチンの方へと向かう。朝ごはんを作らないと。




「ハ?」



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