第20話

「我が騎士よ。行ってくるが良い」

 

 僕は鎧を身に纏い、剣を持ったレルに向けて堂々と言葉を告げる。

 敵ならすぐ近くにいる!

 僕の騎士が活躍する場所はすぐそこだ!


「はっ」

 

 レルが恭しく頷いた。

 ふふふ……少し楽しい。


「我が汝の出陣を飾ってやろうか……」

 

 僕は魔法を使ってレルを魔族たちが居る方に飛ばす。

 魔族たちは全部で三人いる。

 ぜひレルには頑張って戦ってほしい。


「……今回の件はあれに任せるのですね」


「もとよりこれはここの問題たるからな(元々これはここの問題ですからね)」

 

 国防を行うのはそこの国の人間だからね。

 その相手が魔族であってもそこは変わらないだろう。


「そうですね。……アンノウン様に武器と防具を下賜された以上負けることはないと思いますが……」


「いや。無理であろうな。あのままでは(多分勝てないですよ。あのままでは)」

 

 僕はレインの言葉を否定する。

 素の状態のレルじゃ魔物には勝てないだろう。


 僕は剣も武器もレルの元々持っているポテンシャル……アレイスター帝国の最終兵器として持っている力にレルが耐えられるようにサポートするための物として作ってあげている。

 別にあの武器を貰ったから最強だ!とはならないかな。

 隠れている力を引き出せなければ負けちゃうと思う。

 

「え?そうなのですか?」


「うむ(はい)」

 

 僕はレインの言葉に頷く。


「勝てる可能性が0というわけではないがな。見込み0で送るほど我は薄情ではない。すべてはあれの頑張り次第よ(勝つ可能性が0というわけではありませんけどね……レルがどこまで頑張れるかだと思いますよ)」


「でしたら何の問題はありませんね。アンノウン様の激励を受けてやる気にならない人間など許しませんから」

 

 レイン?

 君の許す許さないは出来るか出来ないかに影響しなくない?


「パパ……私にも何か欲しい」

 

 僕にあいも変わらず張り付いているニーナが僕に告げる。

 ……後、レイン?

 ニーナを僕から引き剥がそうと会話しながら全力で攻撃を仕掛けるのは駄目だと思うよ?


「いずれ。我の気が向いたときにな。……さて、あれがどうなるか……見に行こうではないか。せっかくのショーだ。近くで見なくてはもったいないと言うもの(後でちゃんとあげますから。さて。それではレルがどうなるのか見に行きましょうか……上手く言ってくると良いんですが)」

 

 僕はそう話し、立ち上がる。

 かっこよく空の方で眺めている方が黒幕感あっていいよね。


 レインとニーナも一緒に連れて僕は転移した。

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