第21話
上空。
魔族三人とレルが熱い戦いを繰り広げている上空。
そこで僕はレルと魔族の戦いをぼーっと眺めていた。
「クッ……」
「遅いッ!遅いッ!」
眼下で行われている戦い。
それは一方的なものだった。
魔族の一人が代表としてレルと戦い、一方的にボコボコにする。
その様子を他の二人の魔族が完全に油断しきった様子でのんきに観戦していた。
遊ばれているなぁ……。
「ヤァ!!!」
「当たらんぞ。こんなもん」
レルはなんとか頑張ろうと必死に剣を振るい、攻撃を当てようとするのだがそのすべてが尽く回避され、逆に激しい攻撃にされされることになってしまっている。
そして、その反撃としてレルは魔族の攻撃を何度も食らっていた。
「ちっ……硬すぎだろ。どんな防具使っているんだよ」
魔族が忌々しそうに呟く。
魔族の攻撃は僕の作ってあげた鎧が全部弾いてあげていた。
鎧に覆われていない顔などの素顔の部分も僕の鎧が自動で貼ってくる結界によってしっかりとガードされている。
僕が上げた頑丈な鎧がなければその一撃で死んでしまっているだろう。
「キャッ」
魔族の男の蹴りによってレルが吹き飛ばされ、ゴミのように転がっていく。
「「「あぁ……」」」
それに対して悲しみ、諦め、呆れ……様々な負の感情が込められた言葉がゆっくりとその場に広がっていく。
その声を上げたのはレルが戦っているのを傍から見ていた観客たちである。
「あ……」
ゆっくりと立ち上がったレルは表情を悲しいくらいに歪める……そして上を見上げた時……その歪みは最頂点に達する。
「……っ」
レルは体を震わせ……うつむいてしまう。
そして……。
そして、そして、そして。
「ほう……(へぇー)」
僕はレルの内側から湧き上がってくるような力を感じて僕は関心の声を上げた。
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