第35話
僕はたこ焼きの作り方を広めるのを認めてから早一週間。
この街のお店では僕が卸したタコが並び、たこ焼きを始めとしたタコを使った料理の屋台が売られているようになっていた。
もはや僕は屋台をやっていない。タコの卸売りで儲けていた。
最近、僕は超巨大タコの繁殖に夢中である。
既に異空間の空を自由に泳がせている二匹の超巨大タコは一匹の子供を産んでいる。
これからも積極的に超巨大タコを捕まえて、繁殖させていくつもりである。
ちなみに超巨大タコ二匹の交尾はダイナミックで凄かった。
ふふふ。ちゃんと神様が二匹に子供を恵んであげたみたいで良かった。
これからもどんどん繁殖させていくつもりだ。
コンコン
僕がタコについて考えていると、玄関の扉が叩かれる音が響いてくる。
「謁見を許可しよう(どうぞ、入ってきてください)」
玄関の扉を開け、レインが僕の家の中へと入ってくる。
「アンノウン様!」
レインは満面の笑みを浮かべていた。
「ようやくアンノウン様を出迎える準備が完了致しました!」
すっごく嬉しそうにレインは話す。
ちなみに一瞬だけちらっと見えた中央騎士団団長の顔色はとても悪かった。
……大丈夫かな?あの人。ちゃんと休めていないのだろうか?
「いつ来てくださるでしょうか?」
「我はいつでも構わぬ(いつでも大丈夫ですよ?)」
僕はレインの言葉に頷く。
いつでも僕はこの街を出ることができる。やり残したことはない。
たこ焼きの屋台も僕だけのものじゃなくなっているし、 既にこの街には向こう一年は持つであろう超巨大タコを卸している。
この超巨大タコには悪くなる、という概念がないのかそのまま常温の状態で置いていても一切悪くならず、新鮮なままだった。
すごいね。この世界のタコさんは。
「い、今からでも大丈夫ということでしょうか?」
「我は一向に構わぬ。(はい。構いませんよ)」
僕はレインの言葉に頷く。
「本当ですか!」
それに対してレインが瞳を輝かせる。
「それでは今すぐにでも行きましょう!既に招待の準備は出来ているのです!アンノウン様のための特別な棟も用意したんですよ!」
「くくく。素晴らしき働きだ。褒めて使わそう(本当ですか?それはわざわざありがとうございますね)」
「はい!自慢の完成形です!あまり派手なのは好んでいらっしゃらないようでしたので……調和の取れた棟を目指しました!」
「楽しみにしておる(それは……本当にわざわざありがとうございますね)」
僕はレインに連れられて外に出た。
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